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会社の作り方工房図番 KTK ・ はじめての会社の組み立て説明書

図番 A-01-20 / 簡単

会社を作るとは?法人という“もう一人”を組み立てる作り方の全体図

会社を作るとは?法人という“もう一人”を組み立てる作り方の全体図

この記事を読んでほしい人

「会社を作る」と聞いても、何がどう変わるのかまだイメージがわかない人のための入口の記事です。手続きの細部に入る前に、会社という仕組みの全体図を一枚で見ておきたい人にも向いています。

この記事で作るもの会社という仕組みの全体図(部品表)
使う部品

  • P-01〜P-06 設立で決める部品
  • P-07〜P-12 外装の部品
  • 定款
  • 登記

01会社を作るとは、法律の上に「もう一人」をつくること

会社を作るとは、いったい何をすることなのでしょうか。いちばん短く言うと、法律の上で「人」として扱われる存在を、もう一人つくることです。会社法の第3条は「会社は、法人とする」と定めています。法人(ほうじん)とは、人間ではないけれど、法律のうえでは人と同じように契約を結んだり、財産を持ったりできる存在のことです。

会社を作ると、あなたとは別の「人」が一人ふえる。その人は名前・住所・目的を持つ
会社を作ると、あなたとは別の「人」が一人ふえる

会社は、法人とする。

会社法 第3条(e-Gov 法令検索、2026年10月11日確認)

たとえば、あなたが一人で仕事を請け負うとき、契約の相手は「あなた個人」です。同じ仕事を会社で請け負えば、契約の相手は「会社」になります。お金を受け取る口座も、仕事で使う名刺も、会社の名前で用意することになります。会社を作ると、あなたと並んでもう一人のプレーヤーが現れる、と考えるとわかりやすいでしょう。

ここで言葉を一つ整理しておきます。「法人」は会社よりも広い言葉で、一般社団法人やNPO法人なども含みます。会社は法人の一種です。この工房で扱うのは、そのうちの会社、とくに多くの人が選ぶ株式会社と合同会社の作り方です。法人の種類どうしの細かな比べ方は、法人設立の専門サイトの担当なので、ここでは深入りしません。

この記事は、会社の作り方の全体図を一枚にまとめたハブ(中心)の記事です。個々の部品の作り方は、それぞれの記事に分けて説明しています。まずは全体を眺めて、自分がいまどの部品に取りかかればよいかの見当をつけてください。

会社の作り方を調べはじめると、書類の名前や手続きの順番が次々に出てきて、全体が見えなくなりがちです。そんなときは「いま調べているのは、どの部品の話か」と問い直してみてください。定款の書き方は会社名や目的という部品を書類にまとめる作業ですし、名刺の作り方は会社名と連絡先という部品を紙に並べる作業です。部品に引き戻して考えると、作り方の情報が整理しやすくなります。

02会社の種類は4つ――はじめて会社を作る人が選ぶのは2つ

会社法の第2条第1号は、会社を「株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社」と定義しています。会社の種類はこの4つだけで、どれを選ぶかによって名前の付け方(会社名に入れる文字)や、定款に書く内容が変わります。

会社の種類は4つ。展開図で見ると、形の違いがわかる。株式会社・合同会社・合名会社・合資会社
会社の種類は4つ。展開図で見ると、形の違いがわかる
種類 はじめての人が選ぶことが この工房での扱い
株式会社 多い 部品の作り方をくわしく説明
合同会社 多い 部品の作り方をくわしく説明
合名会社 少ない 名前だけ紹介
合資会社 少ない 名前だけ紹介

中小企業基盤整備機構のJ-Net21は、起業の形として個人事業・株式会社・合同会社のほか、LLP(有限責任事業組合)なども紹介しています。LLPは会社ではなく、組合員は最低二者(二人)が必要だと説明されています。会社を作るかどうかを決める前に、こうした選択肢があることだけは知っておくと視野が広がります。

株式会社と合同会社のどちらがよいかは、出資のしかた・運営のしかた・費用など多くの要素で決まり、一概には言えません。この比較は法人の種類を比べる専門サイトに任せ、この工房では「どちらを選んでも作る部品はほぼ共通」という立場で説明を進めます。会社名の文字や定款の書き方など、違いが出る部品では、その都度ことわりを入れます。

ひとこと 迷ったら部品から考える

どちらの種類にするか決めきれないときは、先に会社名・事業の目的・本店の候補など、どちらでも共通の部品を固めておくと、作り方の全体が止まりません。

03会社は登記で生まれる――設立の登記が「誕生日」

会社は、書類を作っただけでは生まれません。会社法第49条は「株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する」と定め、合同会社などの持分会社についても第579条が同じ形で定めています。登記とは、会社の名前や住所などの大事な情報を、法務局が管理する公の帳簿に載せることです。

会社は、設立の登記をした日に生まれる。登記=法務局の帳簿に載ること
会社は、設立の登記をした日に生まれる

株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立する。

— 会社法 第49条(e-Gov 法令検索、2026年10月11日確認)

つまり、会社を作る作業のゴールは設立の登記です。登記の申請は、本店を管轄する法務局の窓口や郵送のほか、法務省の「登記・供託オンライン申請システム」からも行えます。このシステムには、商号調査(同じ名前の会社を調べる機能)の入口も用意されています。

登記の申請書の書き方や、登記に何日かかるかといった手順の細部は、それぞれ登記・定款の専門サイトと、設立の流れの専門サイトが担当しています。この工房で押さえておきたいのは、「登記に載る部品は、あとから変えると手間がかかる」という一点です。

登記された内容は、登記事項証明書という書類で、取引先や金融機関も確かめることができます。会社名や本店の住所、事業の目的を後から変えるには、変更の登記が必要です。だからこそ、設立の前に部品をていねいに作っておくことが、結果として会社を作る手間を減らす作り方になります。

登記
会社の大事な情報を、法務局の公の帳簿に載せること。だれでも内容を確かめられる
本店
会社の住所のこと。登記はこの住所を管轄する法務局で行う
成立
会社が法律上の「人」として生まれること。設立の登記をした時点で成立する

04設立で決める6つの部品――定款と登記に書き込むもの

会社を作るときに必ず決める部品は、定款(ていかん)と登記に書き込むものです。定款とは、会社の基本ルールを書いた書類で、J-Net21は「会社の骨格となる重要な規則」と説明しています。会社法第27条は、株式会社の定款に必ず書く事項として、目的・商号・本店の所在地・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額・発起人の氏名または名称及び住所を挙げています。

設立で決める部品は6つ。どれも書類に書き込む。P-01 会社名〜P-06 印鑑
設立で決める部品は6つ。どれも書類に書き込む
設立で決める6つの部品のカード図
図01 設立で決める部品(P-01〜P-06)

この工房では、これらを部品番号 P-01〜P-06 として並べています。会社名(P-01)は会社法第6条の決まりに沿って作る必要があり、事業の目的(P-02)は、のちに許認可を取る業種なら書き方が大事になります。本店(P-03)は登記をする法務局を決める部品でもあります。

資本金(P-04)の額の決め方と、会社の印鑑(P-06)の種類や作り方の詳細は、それぞれ株式会社・資本金の専門サイトと、印鑑の専門サイトの担当です。ここでは「設立の書類に関わる部品である」という位置だけ押さえておいてください。

株式会社の設立の登記では、会社法第911条第3項により、目的・商号・本店の所在場所・資本金の額・取締役の氏名などを登記します。定款に書いた部品の多くが、そのまま登記にも載るということです。設立の前に部品を一つずつ確かめておくのが、作り方のいちばんの近道です。

05会社ができてから整える6つの部品――外装は好みで決める

会社を作ったあとに整えていくのが、外装の部品です。この工房では P-07 ロゴ・P-08 経営理念・P-09 ドメインとメール・P-10 電話番号・P-11 ホームページ・P-12 名刺と封筒、の6つを挙げています。これらは設立の登記には載らず、好みや戦略で決めてよい部品です。

外装の部品は、会社ができてから整えてもよい。ロゴ・理念・ドメイン・電話・HP・名刺
外装の部品は、会社ができてから整えてもよい

法律・規則で決まっていること

  • 会社名・目的・本店などは定款と登記に書く
  • 会社の種類の文字は会社名に必ず入れる
  • 会社は設立の登記で成立する

好みや戦略で決めること

  • ロゴの形や色
  • 経営理念やスローガンの言葉
  • ドメインやメールアドレスの付け方
  • 名刺のデザインや載せる順番

好みで決めてよいといっても、作る順番には意味があります。名刺には会社名・住所・電話番号・メールアドレスが載るので、名刺は最後に作るのが自然です。ドメインは会社名と合わせたいので、会社名が決まった直後に取れるかを見ておくと安心です。ロゴは、名刺やホームページに使う前に用意しておきます。

J-Net21は、株式会社のメリットとして社会的信用の高さを挙げています。ただ、取引先から見た信用は、登記の有無だけでなく、名刺やホームページ、問い合わせへの答え方といった外装の部品の印象にも左右されます。会社を作ったら、外装の部品を一つずつ整えていきましょう。

外装の部品は、一度にすべてそろえる必要はありません。最初は会社名入りのメールアドレスと名刺だけ、ホームページは1ページの会社概要だけ、という作り方でも仕事は始められます。大切なのは、会社名・ロゴ・ドメイン・名刺の表記をそろえて、相手に「同じ会社だ」とすぐ伝わるようにしておくことです。表記がばらばらだと、せっかく会社を作っても信用の面で損をしかねません。

外装の部品を整える順番の目安のタイムライン
図02 外装の部品を整える順番の目安

06会社を作ると変わること・変わらないこと

会社を作ると、仕事の名義が会社に移ります。契約書の当事者は会社になり、売上は会社の口座に入り、会社のお金と個人のお金は分けて管理することになります。J-Net21は、個人事業と法人のどちらで事業を行うかは、社会的信用・税金や社会保険・経理事務・設立や運営の手続きなどを総合的に検討して決めると説明しています。

個人で動くときと、会社で動くときを比べてみる。名義・お金・信用・手間
個人で動くときと、会社で動くときを比べてみる
個人で動く場合と会社で動く場合の比較表
図03 個人で動く場合と会社で動く場合のちがい(入口だけ)

一方で、会社を作っても変わらないこともあります。仕事の中身や、あなた自身が働くことは同じです。会社を作れば自動的にお客さまが増えるわけでもありません。会社は、仕事をするための「入れ物」であり、中身を育てるのはその後の取り組みです。

税金や社会保険がどう変わるかは、このサイトの担当ではありません。節税の考え方は節税の専門サイト、社会保険は社会保険の専門サイトに任せています。設立を考える段階では、名義とお金が分かれるという点を、まず頭に入れておけば十分です。

Q. 一人でも会社を作れますか?

作れます。株式会社でも合同会社でも、出資する人と役員が一人だけの会社は珍しくありません。一人で会社を作るときの部品の作り方は「個人 自分の会社」の分類で説明しています。

Q. 会社を作るのに資格は要りますか?

会社を作ること自体に資格は要りません。ただし業種によっては、許可や認定、資格者の配置が必要になることがあります。業種別の入口で、所管と制度の名前を確かめてください。

注意 会社を作る前に、業種の許可も確かめる

J-Net21は、事業には何の許可もなく始められるものと、開業前に資格や許可を必要とするものがあると説明しています。飲食・不動産・建設・運送・警備などは、設立とは別に許可が要ることがあるので、この工房の「業種別の入口」も見ておいてください。

07作り方の順番:全体図から部品へ、部品から点検へ

全体図が見えたら、作り方の順番を決めましょう。日付つきの細かな流れは設立の流れの専門サイトに任せ、ここでは「どの部品を先に決めると、あとが楽になるか」という観点で並べます。

部品は、決める順番を守ると噛み合う。全体図 → 設立の部品 → 外装 → 点検
部品は、決める順番を守ると噛み合う

手順 1

会社とは何かを知る

この記事で全体図を見る。会社を作る理由を一文で書き出しておく。

手順 2

業種の許可の有無を確かめる

許可が要る業種なら、事業の目的や本店の条件に関わるので先に。

手順 3

会社名と事業の目的を決める

P-01・P-02。名前は商標の検索まで済ませる。

手順 4

本店・資本金・役員・印鑑を決める

P-03〜P-06。一人で会社を作る場合も同じ部品が要る。

手順 5

書類をまとめて設立の登記をする

細部は登記・定款の専門サイトへ。

手順 6

外装の部品を整え、点検する

P-07〜P-12。最後によくある失敗と見比べる。

ポイントは、業種の許可の確認を早めに置くことです。許可が要る業種では、事業の目的の書き方や、事務所の条件などが関わることがあります。会社を作ったあとで「この住所では許可が取れない」とわかると、本店の移転から作り直しになりかねません。

もう一つのポイントは、最後に点検の段を設けることです。この工房の「失敗 よくある 後悔」の分類では、部品ごとのよくあるつまずきを集めています。設立の前に一度見比べておくと、付け忘れた部品に気づけます。

08まとめ:会社を作るとは、部品をそろえて登記で組み上げること

会社を作るとは、法律の上で「人」として扱われる会社をもう一人つくり、設立の登記によって世の中に出すことです。会社の種類は4つで、はじめての人が選ぶのは主に株式会社か合同会社。どちらでも、作る部品はほぼ共通です。

会社を作るとは、部品をそろえて登記で組み上げること。部品表を手元に置いて進む
会社を作るとは、部品をそろえて登記で組み上げること
会社を作るときに法律で決まっていることと選べることの対比図
図04 会社を作るときに決まっていること・選べること
  • P-01〜P-06(会社名・目的・本店・資本金・役員・印鑑)は、定款や登記に関わる設立の部品
  • P-07〜P-12(ロゴ・理念・ドメイン・電話・HP・名刺)は、会社ができてから好みで整える外装の部品
  • 業種によっては、設立とは別に許可や認定が要る
  • 日数・書類・費用などの細部は、それぞれの専門サイトの担当

株式会社の設立手続きの全体を公的な説明で確かめたいときは、J-Net21の「株式会社の設立手続き」も参考になります。この工房では、そこに出てくる一つひとつの部品を、はじめての人が迷わずに作れるように分解して説明していきます。

次に読む記事は、いまの状況で選んでください。まだ何も決まっていなければ「何から始める」の記事へ、会社名の候補があれば「会社名の決め方」の記事へ進むのがおすすめです。

この図面を閉じる前に

会社の作り方は、全体図さえ手元にあれば、一つひとつはそれほど難しい部品ではありません。今日は紙を一枚用意して、P-01からP-12までの部品名を書き出し、決まっているものに印を付けてみてください。空いている欄が、あなたが次に読む記事です。

この図面は、会社づくりの役に立ちましたか?

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