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会社の規則の作り方|就業規則の義務と社内規程の違い、会社を作る人が先に知ること

この記事を読んでほしい人
会社を作ったあとに人を雇う予定があり、就業規則を作らなければならないのか、社内規程やテンプレートはどう使えばよいのかを知りたい人に向けた記事です。まだ従業員がいない段階の人も、これから必要になる決まりの全体像をつかめます。
- 就業規則
- 社内規程
- 労働者
- 届出
01「会社の規則」には二種類ある――法律で決まる部分と任意の部分
会社の規則の作り方を調べると、就業規則、社内規定、社内規程、服務規律など、似た言葉がたくさん出てきます。まず整理しておくと、法律で作成が義務づけられているのは「就業規則」で、それ以外の社内ルールの多くは会社の判断で決める任意のものです。この二つを分けて考えるのが、入門の最初の一歩です。

設立したばかりの会社では、規則のことは後回しになりがちです。ただ、会社を作る時点で従業員がいなくても、設立の翌月に人を雇うことは珍しくありません。規則の作り方を先に知っておけば、設立後の慌ただしい時期にも判断が遅れません。この記事は、設立前後のどちらの人にも読めるように、規則の作り方の順番に沿って書いています。
就業規則とは、働く時間、休日、賃金、退職などの働くうえでの決まりを、会社が文章にしたものです。厚生労働省のモデル就業規則のページは、常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされている、と案内しています。変更する場合も同様です。
法律・規則で決まっていること
- 常時10人以上の労働者を使用するときの就業規則の作成と届出(労働基準法第89条)
- 就業規則を作るときの、労働者の代表の意見を聴く手続(同法第90条)
- 作成した就業規則を労働者に周知すること(同法第106条)
好みや戦略で決めること
- 経費の使い方・連絡手段・情報の扱いなどの社内ルールの有無と中身
- 社内規程をどの形式・どの名前で作るか
- 10人未満の会社が、就業規則を自主的に作るかどうか
- 規則を何ページにまとめ、いつ見直すか
会社を作る人にとって、規則の作り方でまず迷うのは「どこまでが義務か」です。大事なのは、左の列を「確認して守る」、右の列を「自分の会社に合わせて決める」と意識を分けることです。このページでは、左を原文で確かめ、右は考え方と選び方を示します。2026年10月23日時点の内容で、制度は変わることがあります。
02就業規則の作成と届出――労働基準法第89条の原文で確かめる
就業規則の義務は、労働基準法第89条に書かれています。原文は次のとおりです。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
労働基準法 第89条(e-Gov 法令検索、2026年10月23日確認)
条文にある「使用者」とは、事業主や経営の責任者など、労働者に対して事業の指揮をとる立場の人のことです。会社を作って人を雇う場合、会社を代表する人がこの義務を負う立場になります。「労働者」には、正社員だけでなくパートタイマーなども含めて考える必要があります。細かい数え方は、事業場ごとに確認するのが基本です。
同じ条文には、何を書くかも示されています。始業と終業の時刻、休憩時間、休日、休暇。賃金の決め方、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期、昇給。退職に関すること(解雇の事由を含む)。この三つは、必ず書く内容として並んでいます。そのほかに、退職手当や安全衛生、表彰と制裁などは、会社がその定めをする場合に書く内容です。

設立から間もない会社でも、届出の義務は、人数が条件に達した時点から意識することになります。設立の日に従業員が一人でも、数か月後に増えることを見込んで、就業規則の作り方を早めに確かめておくと余裕が持てます。会社を作る計画の段階で、いつ頃何人になりそうかを書き出しておくのもよい方法です。
作成や届出の細かい進め方、事業場ごとの数え方、書く内容の分け方は、就業規則を扱った子記事に詳しくあります。ここでは、義務の入口を原文で確認できれば十分です。
03従業員が10人未満の会社は、就業規則を作らなくてもよいのか
検索では「就業規則 10人未満」という言葉がとてもよく調べられています。条文の書き方を見ると、第89条は常時10人以上の労働者を使用する使用者に作成と届出を求めています。10人未満の会社について、同じ条文が作成を義務づけてはいません。厚生労働省の広島労働局の案内も、常時10人以上の労働者を使用する事業場では必ず就業規則を作成しなければならない、と述べています。

同じ案内には、労働者が10人未満であっても、就業規則を作成することが望まれる、という記述もあります。つまり、義務ではないが、作ることは勧められているという位置づけです。ひとり会社や数人の会社でも、働く時間や休暇、賃金の払い方を文章にしておくと、後で人を雇ったときに話が食い違いにくくなります。
就業規則を作る義務がない会社でも、労働条件そのものはなくなりません。雇う人との間で、働く時間や賃金などを決める必要はあります。人を雇うときの労働条件の伝え方は、別の決まりがありますので、最新の内容を厚生労働省の案内で確かめてください。
会社を作る時点で従業員が一人もいなければ、就業規則はまだ要りません。ただし、人数は事業が軌道に乗ると変わります。「常時10人以上」に近づく前に、モデル就業規則を読んでおくと、慌てずに済みます。10人を超えたあとの届出の手順は、子記事に任せます。
04社内規定は誰が作るのか――使用者の責任と、労働者の意見を聴く手続
「社内規定は誰が作るのか」という疑問に、法律の立場から答えると、就業規則を作成して届け出る義務を負うのは使用者です。社員の誰かに任せて作ってもらうことはできますが、責任は会社側にあります。作る担当者を決めるときも、最終的に会社が内容を決めて責任を持つ形にします。

作る過程で欠かせないのが、労働者の意見を聴くことです。労働基準法第90条は、就業規則の作成や変更について、事業場に過半数で組織する労働組合があればその組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴くよう使用者に求めています。そして届出には、その意見を記した書面を添付します。意見を聴くことは求められていますが、同意を得ることまでは条文に書かれていません。
使用者は、前条の規定により届出をなすについて、前項の意見を記した書面を添付しなければならない。
— 労働基準法 第90条第2項(e-Gov 法令検索、2026年10月23日確認)
労働者の代表を選ぶ方法にも注意が要ります。厚生労働省の案内は、代表者は使用者の意向に基づいて選ばれたものではないことが必要、と説明しています。会社の都合で指名しないことが大切です。具体的な選び方は、子記事で説明しています。
自分で作る自信がないときは、社会保険労務士などの専門家に相談する選択肢もあります。相談する場合も、会社の実態を一番よく知っているのは会社の側なので、現場の働き方を整理したうえで頼むと、無駄が出にくくなります。
05モデル就業規則と、テンプレート・サンプルの使い方
規則の作り方でいちばん時間がかかるのは、白紙から書き始める段階です。就業規則の作り方も、まずはひな形を読むところから始めるのが近道です。設立の準備と並行して、モデルを一度読んでおくと、自分の会社に必要な項目が見えてきます。就業規則を一から文章にするのは大変です。そこで役に立つのが、厚生労働省が公開しているモデル就業規則です。2026年10月23日時点で、厚生労働省のモデル就業規則のページには、令和7年12月の改訂が掲載されています。規程例や解説を参考に、各事業場の実情に合った就業規則を作成・届出してください、と案内されています。

モデル就業規則のPDFには、本規則はあくまでモデル例であり、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければなりません、という注意書きがあります。そのまま写して出すのではなく、自社の働き方に合わせて直すことが前提です。テンプレートやサンプルをネットで探す場合も、考え方は同じです。
本規則はあくまでモデル例であり、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければなりません。
| 使うもの | 気をつけること |
|---|---|
| 厚生労働省のモデル就業規則 | 改訂の日付を確認し、自社の実態に合わせて直す |
| 民間のテンプレート・サンプル | 作成日と、法律改正への対応を確認する |
| 作成支援ツール | 出力した内容を自社の働き方と見比べる |
「就業規則 テンプレート 無料」で探す人は多いですが、無料かどうかより、内容が今の法律に合っているかが大事です。無料のものを使う場合は、公的機関のものかを確かめると安心です。10人未満の会社が使う場合は、人数に合わない規定を削る、足りない規定を加える、という調整を意識します。
06社内規程のサンプル・一覧・書き方――任意の規則の考え方
就業規則とは別に、経費の使い方、連絡の手段、情報の扱いなど、会社のルールを文章にしたものが社内規程です。社内規程という名前で一覧にまとめられた例もありますが、これらは法律が一律に作成を義務づけているものではありません。会社の規模や仕事に合わせて、必要なものを選んで作る任意の規則です。

社内規程の作り方には、決まった型がありません。そのため、サンプルを集めて「全部そろえなければ」と思い込むと、作り方が重くなります。設立直後の会社なら、まず経費と連絡の二つから始め、困ったことが起きるたびに足していく作り方が現実的です。会社を作る目的が小さな事業であれば、規程の数も少なくてかまいません。
社内規程の書き方で大切なのは、短く、具体的に書くことです。誰が判断するのか、いつまでに何をするのか、例外はどうするのか。この三つが書いてあれば、小さな会社でも十分に役立ちます。反対に、他社の長い文面をそのまま写すと、自分の会社の実態と合わず、守れない規則になりがちです。

人を雇うときの労働条件の明示のルールは、令和6年4月から改正されています。厚生労働省が案内しているもので、就業規則とは別の話です。社内規程を作るときも、雇用契約の内容や既存の就業規則と食い違わないように確認します。「社内規定がない会社」でも、会社が成立し、事業ができなくなるわけではありません。ただ、トラブルが起きたときの判断の拠り所は、あったほうが安心です。
小さな会社の社内ルールを、何から決めるかの手順は子記事にまとめました。
小さな会社の社内ルールの作り方|就業規則の前に決めておくこと
07就業規則を閲覧できるようにする――周知のしかた
「就業規則 閲覧」で調べる人は、従業員がいつでも読める状態にしておく決まりがあるのかを知りたいのだと思います。広島労働局の案内には、作成した就業規則は、各労働者に配付したり各職場に掲示したりするなどにより労働者に周知させなければならない、とあります。作って金庫にしまっておくだけでは、義務を果たしたことになりません。

周知の方法は、労働基準法第106条と、労働基準法施行規則第52条の2に示されています。施行規則には、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を労働者に交付すること、電子ファイルに記録して各作業場に労働者がいつでも確認できる機器を設置すること、が挙げられています。会社に合う方法を選びます。
常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
労働基準法施行規則 第52条の2第1号(e-Gov 法令検索、2026年10月23日確認)
周知の作り方は、会社の規模によって変わります。数人の会社なら、紙を一冊用意して、見たいときにいつでも見られる場所に置くだけでも足ります。設立後に人が増えたら、電子ファイルでの共有へ切り替える作り方もあります。どの方法でも、従業員が見たいときに見られるかが基準です。
置き場所は、従業員に伝えておくことが大切です。どこにあるのか、誰に頼めば見られるのかを、入社のときに説明しておきましょう。電子ファイルで共有する場合は、閲覧できる権限が従業員全員に与えられているか、更新後に古い版が残っていないかも点検します。
内容を変更したときは、改めて届出と周知が必要になる場合があります。変更履歴を残し、いつの版が最新かをわかるようにしておくと、後から確認しやすくなります。会社を作ったばかりでも、ファイルの名前に版の日付を付けるなど、簡単な工夫から始められます。
08まとめ:義務の規則を先に確かめ、任意のルールは小さく始める
会社の規則の作り方を、全体の地図として見てきました。法律で決まっているのは、常時10人以上の労働者を使用する場合の就業規則の作成と届出、意見を聴く手続、周知です。10人未満の会社は義務の対象ではありませんが、作ることが望まれるとされています。社内規程のように、経費や連絡のルールは任意で、会社の実態に合わせて決めます。


厚生労働省の就業規則作成支援ツールの案内には、就業規則は複製はできず、上書き保存となるため、変更後のデータしか残りません、という注意があります。変更前の版を別に残す工夫が必要です。作成の道具を使う場合も、保存の仕方を先に決めておきましょう。
規則の作り方を一言でまとめると、義務の部分を原文で確かめ、任意の部分は小さく始める、ということです。会社を作る人は、設立の準備に追われて、規則のことは後回しになりがちです。人を雇う時期が見えたら、常時の人数と、労働条件の伝え方を先に確認してください。制度は変わるので、2026年10月23日時点の確認という前提で、最後は厚生労働省と所轄の労働基準監督署の最新の案内を見てください。就業規則の作成の代行や相談は、社会保険労務士などの専門家の領域で、当サイトは行いません。
規則の次は、人が増えたときの役割の見せ方、つまり組織図を整える段階です。前の部品に戻りたいときは、カードの記事から戻れます。
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規則は、先に完璧なものを作るより、義務のあるところを確かめ、守れる決まりから文章にするのが近道です。今の人数と、これから雇う予定を紙に書き出して、モデル就業規則を一度ひらいてみてください。会社を作る準備の延長として、無理のない順番で進めましょう。
この図面は、会社づくりの役に立ちましたか?
ありがとうございます。記録しました。
