品番 A-02 / 会社 作り方 個人
個人が会社を作る方法|個人事業主・自分の会社・公務員の兼業制限まで、設立前に確かめること

この記事を読んでほしい人
いま個人として働いていて、自分の会社を持つことを考えはじめた人に向けた記事です。個人事業主の人、まだ何も始めていない人、公務員の人や、その家族がいる人まで、「個人」が会社を作るときに確かめる順番を、全体の地図として並べています。
- P-01 会社名
- 名義とお金
- 公務員の兼業制限
- 屋号・ロゴ・ドメイン
01個人が会社を持つとは、個人とは別の「もう一人」を作ること
個人が自分の会社を持つ、というと、自分の名前の仕事に看板をかけ替えるようなイメージを持ちがちです。しかし、会社を作るとは、法律の上で自分とは別の「もう一人」をつくることです。契約を結ぶのも、お金を持つのも、責任を負うのも、個人ではなく会社になります。この違いを知ることが、個人から会社へ進む作り方の出発点です。

J-Net21(中小機構)は、個人事業と法人のどちらがよいかを比べる案内の中で、社会的信用は法人のほうが優れていると説明しています。ただし、これは一般的な傾向であり、信用が自動で得られるわけではありません。会社を作る目的と、そのために動かす部品を先に整理しておくことが大切です。
社会的信用は法人の方が優れています。
— J-Net21「個人事業と法人のどちらがよいか」(2026年10月23日確認。一般的な傾向についての説明です)
この記事は、「個人」という切り口から会社の作り方を並べた地図です。作り方の順番は立場ごとに少しずつ違います。個人事業主の人は、屋号やロゴ、ドメインの引き継ぎを。まだ事業を始めていない人は、自分の会社の部品表を。公務員の人は、条文で確かめる兼業の制限を。それぞれ、後の章で順に見ていきます。
なお、個人事業から会社に変わる法人成りの手続きや税、一人で会社を立ち上げる手順、副業としての始め方などは、それぞれ別の専門サイトの担当です。ここでは、各テーマに一言触れるだけにして、会社を作る設立の前に確かめる順番に絞ります。
02個人事業主が会社を作るとき:屋号・名刺・ロゴ・ドメインを引き継ぐ
すでに個人事業主として仕事をしている人が会社を作るとき、いちばん気になるのは、これまで使ってきた屋号や名刺、ロゴ、ドメイン、電話番号をどうするか、ということでしょう。商法は、商人がその氏、氏名その他の名称を商号とすることができると定めています。屋号はこの意味で使われる名称で、会社を作るときの商号とは、法律上の位置づけが異なります。

商人(会社及び外国会社を除く。以下この編において同じ。)は、その氏、氏名その他の名称をもってその商号とすることができる。
— 商法 第11条第1項(e-Gov 法令検索、2026年10月23日確認)
屋号をもとに会社名を作ることはできますが、会社の種類を示す文字を入れる、同じ住所に同じ会社名は登記できない、といった決まりに合わせる必要があります。さらに、屋号の商標が登録されているか、誰の名義か、ロゴを誰が作ったか、ドメインや電話の名義は誰かを確かめて、会社名義に切り替える部品を整理します。
| 部品 | 引き継ぐときの確認 | 決まりの有無 |
|---|---|---|
| 屋号→会社名 | 種類の文字・同一住所・使える文字 | 会社法・商業登記法で決まっている |
| 商標 | 登録の有無と名義 | 商標法で決まっている |
| ロゴ・名刺 | 作った人と権利、データの更新 | 契約と著作権法で決まる |
| ドメイン・電話 | 名義変更の可否と窓口 | 契約先の約款で決まる |
個人事業から会社への切り替えは、順番を決めると迷いが減ります。引き継ぐ部品の確認の順番、名義の移し方、切り替えの日の考え方は、屋号から会社への作り方として、専用の記事に詳しくまとめています。法人成りにともなう届出や税、社会保険は、個人事業から法人へ移ることを専門に扱うサイトの担当です。
個人事業主が会社を作るとき、屋号・名刺・ロゴ・ドメイン・電話番号をどう引き継ぐか
03自分の会社の作り方:ひとりで持つ部品と、相談が要る部品
「自分の会社を持ちたい」という場合、出資する人も、経営する人も、実務を担う人も自分ひとり、ということがあります。ひとりの会社でも、会社である以上、設立の作り方の中で省略できない部品があります。会社名、事業の目的、本店の所在地、役員、資本金といった中身は、人数にかかわらず決める必要があります。

法務省は、一人会社の設立登記の申請について、完全オンラインで申請できる方法を案内しています。インターネットで進められる部分が増え、ひとりで進めやすくなった面はあります。ただ、申請の入口が簡単になったことと、決める中身が減ったことは別です。
設立登記を完全オンラインで申請することができます。
— 法務省「一人会社の設立登記申請は完全オンライン申請がおすすめです!」(2026年10月23日確認)
ひとりの会社では、本店をどこに置くか、自宅の住所が公表される点をどう扱うか、連絡先を誰が受けるか、記録をどう残すかといった点で、ひとりならではの悩みが出ます。自分の頭の中にある計画を、部品表に書き出して、相談が必要な部品に印をつけると、頼む相手が決まりやすくなります。

一人で会社を立ち上げる手順そのものは、一人で会社を立ち上げることを専門に扱うサイトの担当です。ここでは部品の持ち方と、相談が必要な部分の見分け方を扱った記事を紹介します。
04個人と会社の名義とお金を分ける:口座・カード・契約の考え方
個人が会社を作る設立のあと、お金の持ち主が変わります。名義とお金の作り方を最初に整えておくのが基本です。会社のお金は、社長個人のお財布とは別のものです。これを守るために、口座、カード、契約の名義を整理する必要があります。個人のときの習慣のまま使い続けると、会社のお金と個人のお金が混ざり、あとで確認する手間が増えます。

金融庁は、法人の口座を開設するときの確認として、顧客の本人特定事項(名称、本店)、取引目的、事業の内容、実質的支配者の確認を挙げています。個人の口座を会社の口座に切り替えるのではなく、会社として確認を受けて開く、という考え方です。口座開設の手順は、設立後の手続きを専門に扱うサイトの担当です。
(1)顧客の本人特定事項(名称、本店)、(2)取引目的、(3)事業の内容、(4)実質的支配者の確認
金融庁「法人口座開設に係る取引時確認について」(2026年10月23日確認。要約した形の一部です)
個人名義の契約を会社に移す場合は、契約の相手方の承諾が必要になることがあります。代表者が会社の経費を立て替えたときは、支払った事実と会社の処理を分けて記録します。法人カードの券面に載る名前と、会社の経費として使ってよい範囲も、混同しないように整理します。
法律・規則で決まっていること
- 会社は個人とは別の主体として契約する
- 契約の移転には相手方の承諾が要る
- 会計帳簿は会社として作成する
好みや戦略で決めること
- どの口座をどの目的に使うか
- カードを誰の名義で持つか
- 立て替えをどう記録するか
個人で会社を作ったら名義とお金をどう分ける?最初に整える部品
05公務員は会社を作れる?国家公務員法103条・104条を原文で読む
公務員が会社を作るときは、民間の人とは違う確認が要ります。国家公務員については、国家公務員法の第103条と第104条が入口です。会社の作り方を調べる前に、まず条文の原文で、どんな行為が対象になっているかを確かめます。

職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員法 第103条第1項(e-Gov 法令検索、2026年10月23日確認)
第103条第1項は、営利を目的とする会社の役員などを兼ねること、そして自分で営利企業を営むことを、原則として禁じています。会社を作って役員になる計画は、この条文の「役員」の部分に関わります。第2項には、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、第1項を適用しないという例外も書かれています。
第104条は、報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員などを兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する、と定めています。営利企業の役員等は103条、営利企業以外の事業や事務で報酬を得る場合は104条、というように、行為によって条文が分かれています。
職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。
— 国家公務員法 第104条(e-Gov 法令検索、2026年10月23日確認)
なお、人事院は、自営兼業の承認の基準を令和8年(2026年)4月1日から見直すと案内しています。ただし、これは個人で営む事業の承認基準の話で、会社の役員になることが一律に認められたという意味ではありません。自分の職員区分と、会社でどの役割を担うのかを所属先の人事担当に伝えて、確かめてください。条文の読み方は、専用の記事でくわしく扱っています。
公務員は会社を作れる?国家公務員法・地方公務員法の兼業制限を条文で読む
06地方公務員法38条と、家族・退職後の会社づくり
地方公務員は、地方公務員法第38条が入口です。国家公務員法とは、条文の書き方が違います。第38条第1項は、任命権者の許可を受けなければ、営利企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他の地位を兼ね、自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない、と定めています。

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。
第38条第1項のただし書きには、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員などを除く)については、この限りでない、とあります。第2項では、人事委員会が人事委員会規則により、許可の基準を定めることができるとされています。つまり、条文だけでなく、自治体の規則や基準も確認が要ります。国家公務員法のように、役員等の兼業と自営を別々の条文で分けて書く形とは異なる点にも注意が必要です。
公務員の家族が会社を作る設立の場面でも、制限を受けるのは職員本人です。ただし、名義が家族でも、本人が実際に経営に関わっていれば、自営と判断される可能性があるため、本人の関わり方を具体的に確かめます。また、退職してから会社を作る場合は、在職中の制限は受けませんが、退職後にも続く義務があります。これらは、専用の記事で整理しています。
公務員の家族が会社を作るとき・退職後に作るときに確かめること
メモ 公務員系の記事を読むときの注意
公務員の兼業の扱いは、職員区分や制度の改正で変わります。この記事は2026年10月時点で条文の原文を確かめた内容です。実際に動く前に、所属先の人事担当に、会社で担う役割を具体的に伝えて確認してください。
07ひとりで持つとき、働きながら持つときに先に確かめること
個人が会社を作る場面には、ここまで見たほかにも、いくつかの論点が付いてきます。「一人で会社を立ち上げたい」「会社員のまま副業として会社を持ちたい」「個人事業から会社に変えたい」といった、個人ならではの事情です。これらは、それぞれを専門に扱うサイトの担当なので、ここでは一言ずつ触れるにとどめます。

一人で立ち上げる手順は、一人会社を専門に扱うサイトの担当です。副業や節税の考え方は、会社員の会社設立を扱うサイトの担当で、会社員の場合はまず勤務先の就業規則を確かめます。個人事業から会社に変わるときの税や社会保険、手続きは、法人成りを扱うサイトの担当です。それぞれ、最新の制度を公式の案内で確かめてください。
中小企業庁は、創業をお考えの方に対する支援策等の情報を提供しています。補助金や融資、相談窓口といった支援制度の情報も、そこから探せます。個人が会社を作るときに使える制度は、時期によって変わるため、利用を考える場合は最新の案内を確認します。
創業をお考えの方やスタートアップ企業に対する支援策等の情報提供を行っています。
— 中小企業庁「創業・スタートアップ支援」(2026年10月23日確認)
| 個人ならではの事情 | ここでの扱い | 確かめる先 |
|---|---|---|
| 一人で立ち上げる | 部品の持ち方まで | 一人会社を扱う専門サイト |
| 会社員の副業 | 勤務先の就業規則を確認 | 就業規則・副業を扱う専門サイト |
| 個人事業から会社へ | 部品の引き継ぎまで | 法人成りを扱う専門サイト |
| 支援制度 | 窓口の存在まで | 中小企業庁・自治体 |
個人の立場で会社を作るのは、一人で全部を抱えやすい作業です。作り方を部品に分けて考えるのが、負担を減らすコツです。部品ごとに「自分で決めること」「公式の案内で確かめること」「専門家に相談すること」を分けて、判断を記録しておくと、迷ったときに戻れます。
08まとめ:個人から会社へ、確かめる順番を一枚にする
個人が会社を作る作り方は、立場によって確かめる順番が変わります。個人事業主なら、屋号や名刺、ロゴ、ドメインなどの部品の引き継ぎから。まだ何も始めていない人なら、自分の会社の部品表から。公務員なら、条文と所属先への相談から、始めるのが近道です。


条文や制度は、2026年10月時点で確かめた内容を記しています。改正や運用の変更があるため、実際に動く前には、所管官庁や所属先の最新の案内で確認してください。迷ったときの窓口として、J-Net21の起業の相談のページには、相談先の探し方がまとまっています。
全体の地図を手にしたら、気になる部品から読み進めてください。関係の近いカテゴリーとして、会社を作る全体像を点検する記事、学生が会社を作るときの記事、会社名を決める記事があります。
この図面を閉じる前に
個人の立場で会社を持つとき、不安の多くは、何を自分で決めて、何を誰に確かめればよいかが見えないことから来ます。まずは、いま個人名義になっているものと、自分の職業上の決まりを、紙に書き出してみてください。書き出した項目に沿って記事を選べば、会社を作る設立の準備と、その作り方は、一つずつ前に進みます。
この図面は、会社づくりの役に立ちましたか?
ありがとうございます。記録しました。
