品番 B-15 / 会社 作り方 組織図
会社の組織図の作り方|会社を作る人が最初に描く、書き方とテンプレートの選び方

この記事を読んでほしい人
会社を作ったばかりで、組織図を描いたほうがよいのか、どんな形で描けばよいのかを知りたい人に向けた記事です。ひとり会社から数人の会社までを想定し、部署を作る前の段階でも使える描き方を示します。
- 組織図
- 取締役
- 部署
- 役割分担表
01組織図とは何か――作らなければいけない書類なのか
組織図とは、会社の中の人や役割がどうつながっているかを、線と箱で示した図のことです。Googleスプレッドシートのヘルプでは、組織図を、会社、グループ、家系などのメンバー間の関係を示すことのできるグラフと説明しています。名前のとおり「組織の見取り図」のようなものです。

会社を作るときに、組織図を必ず作らなければならないのでしょうか。今回、e-Gov法令検索で会社法の全文と、労働基準法およびその施行規則の全文を確かめたところ、どの本文にも「組織図」という言葉は出てきませんでした。2026年10月23日時点の確認で、すべての法令を調べたわけではありませんが、少なくともこれらの法律が会社に組織図の作成を義務づけている条文は見つかりませんでした。
つまり、組織図は、会社の設立の登記に必要な書類ではなく、会社を作る人が必要に応じて作る任意の書類です。取引先や金融機関、補助金の申請などで求められることがあっても、それは相手が決めた条件であって、法律の義務とは別の話です。何のために描くのかを先に決めると、描き方の迷いが減ります。

設立したばかりの会社では、組織図は大げさに感じられるかもしれません。ただ、設立の時点で役員が複数いる場合や、設立後すぐに人を迎える予定がある場合は、早めに描いておくと役割の抜けに気づけます。会社を作る計画を人に説明するときにも、図が一枚あると話が早く進みます。組織図の作り方を調べる人の多くは、見た目の整え方から入りがちです。けれど先に決めるのは「誰に見せるか」です。社内向けなら担当者の名前まで書き込めますが、社外向けなら出す情報を絞る必要があります。この考え方は、描き方の節で詳しく説明します。
02会社法が決める「機関」と、社内の組織図の違い
組織図を描くときに混ざりやすいのが、会社法が決める役員などの仕組みと、会社が自由に決める社内の担当です。会社法では、会社の意思決定や運営にかかわる取締役などの仕組みを「機関」と呼びます。これは会社法で決まる部分です。営業部や経理担当のような社内の担当は、会社が自由に決める部分です。

株式会社の場合、会社法第326条は、株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない、と定めています。同じ条文の第2項は、定款の定めによって、取締役会、監査役などを置くことができるとしています。取締役会を必ず置く場合は第327条に書かれており、会社の種類や規模で違いがあります。
株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。
法律・規則で決まっていること
- 株式会社には取締役を一人以上置く(会社法第326条第1項)
- 取締役会などを置くかどうかは、条文と定款の定めによる
- 取締役になれない人の条件(同法第331条)
- 合同会社は、社員が業務を執行するのが原則(同法第590条)
好みや戦略で決めること
- 営業・経理・総務などの社内の担当の分け方
- 誰が誰に報告するか(報告の線)
- 部署の名前と、箱の並べ方
- 図を社内用にするか、社外に見せるか
合同会社は、会社法第590条により、定款に別段の定めがある場合を除き、社員が持分会社の業務を執行します。ここでの社員とは、出資をして経営に関わる人のことです。株式会社と合同会社のどちらにするかの比較は、別の専門サイトが扱うテーマです。この記事では、法律が決める役員の呼び方と、自由に決める社内の担当を、図の中で区別して描くことを覚えておいてください。
設立の登記では、取締役などの氏名が登記されます。組織図の作り方としては、登記される役員の欄と、登記されない社内の担当の欄を、色や位置で分けて描くとわかりやすくなります。設立後に取締役が交代したら、登記の変更とあわせて図も直します。会社を作る登記の手続きでは、取締役などの氏名が登記されます。組織図に取締役の肩書きを書くときは、登記した内容と食い違わせないようにします。設立の手続きの細かい内容は、別の専門サイトの担当ですので、ここでは触れません。
03組織図のテンプレートを選ぶ――ひな形は出発点にする
組織図のテンプレートは、無料で配布されているものから、表計算ソフトや作図ソフトに入っているものまで、たくさんあります。迷ったときは、見た目の好みよりも、自分の会社の人数と階層の数で選んでください。ひとり会社なら一つか二つの箱で足りますし、役員と担当者がいる会社なら縦の線が必要です。

マイクロソフトのヘルプは、SmartArtグラフィックを選ぶときに、大量のテキストを入れる代わりに、主要なポイントだけを入れる、という考え方を示しています。組織図でも同じで、箱の中に詳しい仕事内容まで詰め込むと読めなくなります。名前と役割の名前くらいに絞るのが基本です。
| 選ぶ観点 | 確かめること |
|---|---|
| 箱の数 | 今の人数と、近い将来の人数で足りるか |
| 線の形 | 報告の線と相談の線を分けて描けるか |
| 編集のしやすさ | 人の入れ替えで作り直さずに済むか |
| 出力 | 印刷や画像にしたときに文字が潰れないか |
テンプレートの作り方には二通りあります。既存のひな形を借りる方法と、自分で枠だけ作って使い回す方法です。設立直後は人数が少ないため、枠を自作するほうが無駄がありません。ひな形を借りるときは、利用条件を確認し、会社の図として配ってよいかも見ておきます。テンプレートをそのまま使うと、自分の会社に合わない箱や線が残ることがあります。使わない部署の箱は消し、足りない役割は足す、という調整をして初めて自分の会社の図になります。子記事では、ひとり会社から描き始める具体的な手順を説明しています。
04わかりやすい組織図の書き方――線の意味を決めて描く
組織図の書き方でいちばん大切なのは、線に意味を持たせることです。一本の線が「上司に報告する」のか「仕事を頼める」のか「一緒に相談する」のか、見る人によって解釈が分かれると、図が誤解のもとになります。実線と点線を使い分けるなど、決めた意味を図の端に小さく書いておくと伝わりやすくなります。

Googleドキュメントの組織図のヘルプには、各メンバーの管理者、親、または他の階層関係にあるメンバーの名前を入力する、という手順が書かれています。名前と、その上の階層の人をセットで入力する仕組みです。表計算や図のツールで描く場合も、まず「誰が誰の上にいるか」の一覧を作ってから図にすると、描き直しが減ります。

役員と社内の担当は、箱の形や色で区別すると読みやすくなります。たとえば取締役は四角、担当者は丸、という具合です。色をたくさん使うと、印刷したときに区別がつかなくなるので、色数は少なくしてください。書き込む情報は、名前と担当の名前を中心にして、電話番号や住所のような細かい情報は図の外に置くのが基本です。
組織図の作り方は、描く前の準備で八割が決まります。誰に見せるのか、何を伝えたいのか、どの情報を載せないのか。この三つが決まっていれば、描く作業は短時間で終わります。設立直後の会社は、状況が変わりやすいので、描き直しやすい形で保存しておくことも作り方の一部です。図が完成したら、実際に読む大きさで確かめます。画面で拡大すれば読めても、印刷すると文字が小さすぎることがあります。見る人が最初に知りたいのは、自分が誰に報告するのか、相談するのは誰か、ということです。そこが一目でわかるかを基準に点検してください。
05エクセルで組織図を描く――表計算ソフトで作るときの考え方
組織図をエクセルで作りたい、という検索はとても多いです。エクセルは、表を作る道具として使い慣れている人が多く、新しいソフトを入れなくても描けるのが利点です。マイクロソフトのサポートページには、OfficeでSmartArtを使用して組織図を作成する方法が案内されていて、適用先としてExcelも挙げられています。

エクセルで描くときの考え方は、紙に描くときと同じです。図を描く前に、シートの別の場所に「名前」「役割」「報告先」の一覧表を作っておきます。この一覧が、図の元データになります。人が入れ替わったり、役割が変わったりしたときは、先に一覧を直し、それから図を更新します。図だけを直すと、一覧と食い違ってしまいます。
| 表計算ソフトで描く利点 | 気をつけること |
|---|---|
| 使い慣れた道具で始められる | 箱の数が増えると配置が崩れやすい |
| 一覧表と図を同じファイルで管理できる | 図と一覧を同時に更新する習慣が必要 |
| PDFや画像にして共有しやすい | 共有前に個人情報の範囲を確かめる |
エクセルで描く作り方は、設立したばかりの会社に向いています。新しい費用をかけずに始められ、会社を作る初期の組織図としては十分だからです。作り方に迷ったら、まず一覧表を作り、そこから箱を並べてみてください。図形を一つずつ手で置いていく方法でも、組織図はできます。大きな会社の組織を頻繁に更新するなら、専用の図の道具のほうが楽な場合もあります。小さな会社を作る段階では、まず手元にあるソフトで描き、必要になってから別の道具を考えれば十分です。操作の画面や手順は、ソフトの版で変わるため、最新の公式ヘルプを見てください。
06小さな会社・ひとり会社の組織図――役割分担表から始める
会社を作った直後は、代表者が営業も経理も一人でこなすこともあります。そんな小さな会社でも、組織図は描けます。ただし、箱を無理に増やす必要はありません。役員の箱が一つと、その横に「営業」「経理」「発注」といった仕事の名前を並べ、全部を同じ人が兼ねていると示すだけで、立派な図になります。

小さな会社では、組織図より先に役割分担表を作る作り方もおすすめです。厚生労働省の職務分析のマニュアルは、職務分析を、企業で働く社員の職務に関する情報を収集、整理する手法と説明しています。専門的な手法ですが、考え方は単純で、誰が、どんな仕事を、どこまでの責任で担当するかを書き出すことです。
| 役割 | 今の担当 | 不在のときの代わり |
|---|---|---|
| 営業・問い合わせ | 代表者 | 未定 |
| 経理・請求書 | 代表者 | 外部の専門家に相談 |
| 発注・購入 | 代表者 | 未定 |
| ホームページの更新 | 代表者 | 未定 |
表の「不在のときの代わり」が空欄でも、書き出した時点で課題が見えます。人が増えたときに、どの仕事を誰に渡すかを考える材料にもなります。この表をもとに箱と線に直せば、組織図の元データになります。小さな会社の組織図の描き方の具体例は、先ほど紹介した子記事に詳しく書いてあります。
07部署の名前の付け方――肩書きではなく実態で考える
人が増えてくると、部署という単位を作りたくなります。部署の名前は、仕事の内容が見た人に伝わる言葉から選ぶのが基本です。営業部、総務部、制作部のように、日常の言葉で十分です。あまり凝った名前にすると、取引先や新しく入った人が何をする部署かわからなくなります。

部署を作るときや、課長・部長といった肩書きを付けるときに、気をつけたい点があります。厚生労働省の案内は、労働時間などの規制から外れる管理監督者にあたるかどうかについて、「部長」「営業所長」といった肩書ではなく、その社員の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえて実態により判断する、と説明しています。名前を付けただけで、労働条件の扱いは変わりません。
「部長」「営業所長」といった肩書ではなく、その社員の職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇を踏まえて実態により判断します。
厚生労働省「時間外労働・割増賃金と管理監督者の範囲」(2026年10月23日確認)
部署を作る作り方としては、仕事の種類が三つ以上に分かれ、それぞれに責任者を置く必要が出てきた頃が一つの目安です。設立直後に無理に部署を作ると、箱だけが増えて中身が空になります。会社を作る初期は、担当という呼び方で十分な場合も多いです。部署の名前は、名刺、メールの署名、問い合わせ窓口の表記にも使われます。組織図の名前と、名刺や案内の名前がずれないようにそろえておくのが、混乱を防ぐ近道です。名刺のカテゴリー記事も参考にしてください。具体的な考え方や、部署名の候補の作り方は、子記事にまとめました。
部署の作り方と名前の付け方|小さな会社の役割の分け方
08まとめ:義務ではない図だからこそ、目的と公開範囲を決めて描く
会社の組織図の作り方を、全体の地図として見てきました。組織図は、e-Govで確かめた範囲では会社法や労働基準法が作成を義務づけているものではなく、会社を作る人が必要に応じて作る任意の図です。一方で、取締役などの会社法が決める役員の呼び方は、登記した内容と合わせておく必要があります。


公開範囲についても触れておきます。個人情報保護委員会のガイドラインは、担当者や取り扱う個人情報データベース等の範囲を限定するために、適切なアクセス制御を行わなければならない、と述べています。組織図に社員の氏名や連絡先を載せるなら、見られる人の範囲を決め、社内用の図をそのまま外へ出さないようにします。
会社を作った後に、人が増えたり役割が変わったりしたら、元の一覧と図の両方を更新します。制度は変わることがあるため、2026年10月23日時点の確認という前提で、会社法や労働関係の疑問は、所管の官庁や専門家の最新の案内を見てください。登記の内容の変更などの手続きは、司法書士の業務です。
組織図の次は、人が増えても迷わない規則と、会社を知ってもらうための案内づくりに進みます。
この図面を閉じる前に
組織図は、きれいに描くことより、今の会社に合っていることのほうが大切です。まず人と役割の一覧を作り、それを箱と線に直してみてください。会社を作る準備と同じように、小さく描き始めて、人が増えるたびに育てていけば十分です。
この図面は、会社づくりの役に立ちましたか?
ありがとうございます。記録しました。
