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会社の作り方工房図番 KTK ・ はじめての会社の組み立て説明書

図番 C-28-166 / レーベル

音楽レーベルの作り方|会社にするときの事業目的と権利の整理

音楽レーベルの作り方|会社にするときの事業目的と権利の整理

この記事を読んでほしい人

自分や仲間の音楽を制作・発売するレーベルで会社を作る方へ。音楽レーベルの作り方を、事業の範囲と一曲に関わる権利から考えます。会社を設立するだけで、参加者の権利が自動的に会社へ集まるわけではありません。

この記事で作るもの制作する人・権利を持つ人・音楽を届ける相手の関係図
使う部品

  • 会社の仕事
  • 一曲の権利
  • 契約の範囲
  • 発売と配信

01音源制作・発売・配信のうち、会社が担う仕事を決める

音楽レーベルの作り方は、どんな曲を出したいかだけでは決まりません。録音した音源を自社で制作するのか、完成した音源を預かって発売するのか、配信先へ届ける仕事まで行うのかを分けます。会社を作る前に、引き受ける仕事と外部へ頼む仕事を書き出してみましょう。

会社の仕事を選ぶ。レーベルという名称だけで済ませない
会社の仕事を選ぶ

会社が何を事業として行うかを示すのが事業目的です。会社の基本的な決まりを記したものを定款といい、会社法は株式会社の定款に目的を記載・記録することを求めています。合同会社を含む持分会社にも目的を定める規定があります。設立時には、自社が行う仕事を整理する必要があります。

たとえば、音楽や音源の企画・制作、音楽商品の販売、音源の配信といった業務を、計画に合わせて検討します。これは仕事を整理するための例であり、そのまま使えばすべての会社に適合する定款の文例ではありません。具体的な記載や登記の方法は、会社設立の登記・定款を扱うテーマで確認します。

レーベルの作り方を考える際は、アーティストの活動を支える仕事も、自社でどこまで受けるか決めます。録音だけを支える会社と、出演交渉や宣伝まで担う会社では、相手に約束する内容が変わります。設立する会社の説明を、実際の役割に合わせることが大切です。

事業目的に権利の管理を書けば、誰の楽曲でも管理できるということではありません。個々の権利者との契約や、業務の形に応じた制度上の確認が別にあります。会社の作り方では、事業の名称を決めることと、その仕事を行える根拠を確かめることを結び付けます。

最初は一つのリリースを想定し、企画、作曲、歌唱、録音、発売、配信の各欄に担当を書いてみてください。まだ担当が決まらない欄は、会社を作るための準備で相談する項目です。すべてを自社の仕事として広告する前に、引き受けられる範囲を確かめましょう。

02作詞作曲と歌唱演奏、録音した音を別々に見る

音楽レーベルの作り方でまず押さえたいのが、一曲に複数の権利が関わることです。作品を創作した人の権利である著作権と、歌唱・演奏や録音をした側に認められる著作隣接権があります。著作隣接権は、作品を人に伝える実演や録音などを保護する権利です。

一曲の中を分ける。音楽という一つの言葉にまとめない
一曲の中を分ける

文化庁は、音楽CDには歌詞や楽曲、歌手や演奏家による実演、録音された音が同時に含まれ、それぞれの権利が存在すると説明しています。作曲した本人が歌っていても、すべての役割が常に同じ人へまとまるわけではありません。共同制作者や録音の体制も確認します。

たとえば、作詞者と作曲者が別で、歌手と演奏家が参加し、会社が音源を制作する企画を考えます。設立する会社は、誰がどの役割で参加するかを整理し、それぞれの利用について必要な合意を確かめます。歌手の了解だけを得れば、楽曲も音源も自由に扱えると判断しないでください。

歌詞や楽曲、歌唱や演奏、録音された音について確認する権利を分けた表
図01 一曲に関わる三つの対象

文化庁は、依頼者が制作費などを支払っただけで著作者になるわけではないとも説明しています。会社を作る際に、外部へ作曲を発注したら作品の権利も当然に会社のものになる、と考えないようにします。会社の業務で作られる作品については、法律上の別の条件が関わる場合もあります。

権利関係の表の作り方は、名前の一覧だけでなく、どの作品・どの録音に関わった人かを対応させることが基本です。同じ曲を別の歌手で録り直した場合にも、以前の合意をそのまま使えるとは限りません。設立前からの作品も、新しい会社で利用できる範囲を確認します。

03録音した音源を誰が製作し、どの権利を持つか確かめる

CDや配信用データのもとになる録音音源を、一般に原盤と呼びます。音楽レーベルの作り方では、この音源を誰が製作し、どの範囲で利用できるかが重要です。原盤のファイルを保管している人と、その音源の権利を持つ人が同じとは限りません。

音源の権利を確認。ファイルの持ち主だけで決めない
音源の権利を確認

著作権法は、レコード製作者を、そのレコードの音を最初に固定した者と定めています。ここでいうレコードはアナログ盤だけを指す言葉ではありません。法律上の定義に照らして、録音の制作主体を確認します。録音機材を操作した担当者の名前だけで結論を出さないでください。

レコード製作者には、レコードを複製する権利や、インターネットで送信できる状態にする権利などがあります。また、歌手や演奏家にも実演の録音に関する権利があります。会社を作るときは、音源を配信先へ渡す立場に加え、その利用を認められる立場にあるかを確かめます。

共同で制作する場合は、参加する会社や個人が何を担うかを契約で整理します。設立する会社が一部の制作費を負担するだけなのか、制作全体を担うのか、別の会社から利用を認められるのかを混同しないようにしましょう。費用の負担割合から権利の割合を自動的に決めるのは避けます。

音源管理の作り方としては、作品名だけでなく、録音した版、参加者、契約の相手、利用できる範囲を一緒に保存する方法が考えられます。同じ曲名であっても、ライブ録音、別の演奏、修正版などは区別します。ファイル名を見て担当者が推測するだけの運用にしないことが大切です。

会社設立前に個人で作った音源を、新会社から発売する場合も同じです。以前の制作契約や共同制作者との合意を読み直し、会社が利用するために何を整えるか検討します。設立によって、個人の契約や権利がすべて自動的に新会社へ移ったとは扱わないでください。

04依頼料と権利、利用許諾と譲渡を分けて合意する

作品を使ってよいと権利者が認めることが利用許諾です。権利そのものを別の人へ移す譲渡とは違います。音楽レーベルの作り方では、自社が必要とする使い方に合わせ、どちらを含む契約なのかを相手と確認します。制作を頼むことと権利の扱いを一緒に考えましょう。

使える範囲を決める。報酬の支払いとは別に確かめる
使える範囲を決める

文化庁は、報酬を支払っただけで依頼者が著作権を取得することにはならず、利用の了解を得るか、権利を譲り受ける必要があると説明しています。設立する会社が依頼する作詞や作曲、ジャケットの絵などについても、納品されたら何にでも使えるという前提にしないでください。

契約の作り方では、CDに収録する、音楽配信をする、宣伝動画に使うといった利用の方法を具体化します。期間や地域、他社へ利用を認めることができるかも、必要に応じて整理します。「音楽活動に使用する」という広い言葉だけでは、双方が想像する範囲に差が生じることがあります。

会社を作るときには、制作を依頼する相手へ、現在予定している利用をできるだけ伝えます。後から別の商品や広告に使いたくなった場合は、もとの合意に含まれるかを確認してから進めましょう。売れた後で利用方法を増やす可能性があるなら、その相談方法も決めておくと役立ちます。

著作者の人格的な利益を守る権利は、財産としての著作権とは別で、譲渡できません。権利を買い取ったという言葉だけで、氏名の表示や作品の変更についても制約がなくなるとは考えないでください。権利を持つ人と、作者として確認する相手が異なる場合もあります。

契約書の作り方を整える際は、金額だけでなく、支払う対象と利用範囲が対応しているかを読みます。会社設立の準備では、参加者へ説明できない条項を残したまま署名を求めないことが大切です。判断が難しい契約は、その案件の資料をそろえて弁護士などへ相談します。

05CDなどを製作するときは、楽曲の管理範囲を確認する

他者の楽曲を収録するCDなどを製作する場合は、誰がその利用を管理しているかを確認します。JASRACは、管理楽曲を録音物や映像ソフトなどへ利用する際の手続きを案内しています。音楽レーベルの作り方では、曲名を知っていることと利用の了解を得ていることを分けます。

楽曲の管理先を調べる。音源の許諾まで一括と思わない
楽曲の管理先を調べる

同団体の案内では、製作する前に余裕を持って手続きを行うよう示されています。会社を作る際の発売計画にも、利用予定の楽曲と録音物の内容を確認する余地を設けましょう。完成後に手続き先を探せばよい、という進め方では、発売の予定を見直すことにもなりかねません。

すべての楽曲をJASRACが管理しているわけではありません。同団体の案内は、管理していない楽曲について、それぞれの権利者から別に許諾を得るよう示しています。どの利用分野について管理されているかも確認し、検索で曲名が見つかったというだけで判断を終えないでください。

市販のCDや購入した音源をそのまま利用する場合には、楽曲の著作権とは別に、音源製作者やアーティスト側の権利の許諾が必要となります。設立する会社がカバー曲を自分たちで録音する場合と、既存の録音を使う場合を区別します。購入した音源だから発売物へ自由に入れられるわけではありません。

既存曲を編曲したり、歌詞を翻訳・変更したりする場合も、作詞者や作曲者の意向を事前に確認するよう案内されています。レーベルの作り方に合わせて大胆なアレンジを企画するときにも、通常の録音利用の手続きだけで済むと即断しないようにします。

発売する内容を変更したら、確認した条件も見直します。会社設立時に決めた担当者が、収録曲、音源、利用方法、回答を一緒に管理すると、誰に何を聞いたかが分かります。記録の作り方を工夫し、担当者の記憶だけに頼らない運用を考えましょう。

06配信先の手続きと、自社が確認する権利を分ける

音楽配信を行うレーベルの作り方では、既存の配信サービスに音源を提供する場合と、自社で配信する場合を分けます。JASRACは、Apple Musicなどの音楽配信サービスについて、サービス運営者から許諾契約の手続きと使用料の支払いを受けていると説明しています。

配信の担当を分ける。サービスの契約範囲を確かめる
配信の担当を分ける

そのため、該当するサービスで楽曲を配信する場合には、JASRACへの個別の手続きは不要と案内されています。ただし、これは同団体が説明する管理楽曲とサービスの手続きに関する話です。どのサービスや使い方でも、会社がすべての権利確認を省けるという意味ではありません。

音源そのものを使う権利や、既存曲の編曲・訳詞などの確認は別に残ります。会社を作る際は、配信先が担当する手続きと、自社が権利者との間で整える契約を分けてください。音源を登録する画面で入力できたことだけを、利用許諾の証拠として扱わないようにします。

音源と契約と配信サービスの情報を対応させて確認する図
図02 配信前に対応させる情報

自社のサイトから直接配信する場合や、別のサービスへ用途を広げる場合には、その利用に応じた案内を改めて確認します。設立する会社の配信の作り方を、最初に使ったサービスの説明だけで固定しないことが大切です。無料の配信という理由だけで、権利の確認が不要になるとは考えないでください。

収益を参加者へどう分けるかも、利用できる権利の確認とは分けて合意します。誰の売上を基準に、何を差し引き、いつ報告するかが曖昧なままだと、配信後に説明が難しくなります。この記事では分配率の相場を決めず、自社の契約で確かめる項目として示します。

07他者の権利管理を受ける事業には、別の制度の確認がある

他者から任された著作権などについて、利用を許可したり管理したりする仕事には、著作権等管理事業の制度が関わります。文化庁は、管理を委託する契約に基づいて業として行う場合の登録について案内しています。音楽レーベルの作り方では、音源の制作・発売と管理の受託を区別します。

管理の形を確かめる。レーベルの名称で登録を判断しない
管理の形を確かめる

他の作家や権利者の代わりに利用を認め、使用料を決めていく事業を考えているなら、どのような契約で引き受けるかを整理します。自社の音源を自分で利用することと、他者から管理を任されることを、一つの「権利管理」という言葉で済ませないでください。

同庁の説明は、使用料の額を誰が決めるかなどによって、規制の対象となる管理の形が異なることを示しています。また、一定の密接な関係にある者からの委託など、法令上の除外もあります。レーベルを設立するすべての会社に同じ登録が必須、という制度ではありません。

一方で、設立する会社が小規模だから、あるいは仲間の曲だけだから、登録の確認が不要と決めつけることもできません。具体的な権利者との関係、委託の内容、使用料の決定方法を伝え、文化庁の現在の案内で確認します。この記事は登録手続きの詳しい方法までは扱いません。

法律・規則で決まっていること

  • 必要な権利の許諾と契約範囲を確認して利用する
  • 管理事業に当たる業務は登録等の制度を確認する

好みや戦略で決めること

  • 扱う音楽のジャンルや制作方針を選ぶ
  • 権利や契約の記録を探しやすく整理する

会社を作る計画に新しい作家や事業を加える場合も、最初の確認を見直しましょう。運営の作り方が変われば、権利を管理する関係も変わることがあります。以前の案件で登録が不要だったという回答だけを、別の契約へそのまま当てはめないことが大切です。

08まとめ:発売先との契約まで、権利のつながりを確かめる

音楽レーベルを会社にする作り方では、事業目的、参加者、権利、発売先をつなげて確認します。設立はその事業を担う会社の準備であり、一曲に関わる契約の代わりではありません。自分たちが利用できる範囲と、発売先へ認める範囲が対応しているかを見ます。

発売先との約束。供給と譲渡は同じではない
発売先との約束

日本音楽出版社協会が案内する原盤供給契約書は、音源の権利を譲渡する契約ではなく、一定の製造・発売について利用を認める契約です。同協会の説明では、配信などの権利を留保する前提も示されています。音源を渡す契約が、常に権利をすべて手放す契約になるわけではありません。

ただし、この契約書には想定する条件があり、すべての取引へそのまま使えるものではありません。会社を作る際は、ひな型の名称だけで選ばず、今回の音源、参加者、利用方法に合うかを確認します。レーベルの作り方を、契約相手と同じ内容を説明できる状態に整えましょう。

制作した作品の権利と契約の形を整理する

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最初に発売したい一曲について、作った人、歌った人、録音を製作した人、発売・配信する相手を書いてみてください。それぞれとの合意を確かめ、会社が使える権利と相手へ認める範囲を対応させていきましょう。

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