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会社の作り方工房図番 KTK ・ はじめての会社の組み立て説明書

図番 C-25-62 / 貿易

貿易会社の作り方|事業目的の書き方と輸出入の入口

貿易会社の作り方|事業目的の書き方と輸出入の入口

この記事を読んでほしい人

海外で見つけた雑貨や食品を日本で売りたい人、日本の製品を海外の取引先に届けたい人など、輸出入を仕事にする会社を作ろうとしている人に向けた記事です。いまは個人で小さく輸入販売をしていて、会社にするかどうかを考えている人にも役立ちます。

この記事で作るもの扱う品目と取引のかたちに合わせた、貿易会社の設計図
使う部品

  • P-01 会社名
  • P-02 事業の目的
  • P-03 本店の所在地
  • 品目の確認表

01貿易会社の作り方は「何を・どこと・どう取引するか」から始まる

貿易会社の作り方には、すべての輸出入業に共通する一つの営業許可があるわけではありません。弥生の解説は原則として営業許可や免許が不要と説明していますが、これは個々の取引が無条件にできるという意味ではありません。会社を設立する手続きと、商品を国境の外へ出す・国内に入れる確認を分けて考えます。

貿易会社は、品目と取引のかたちで必要な手続きが変わる。会社を作ること自体は、ほかの業種と同じ
貿易会社は、品目と取引のかたちで必要な手続きが変わる

ただし、話はそこで終わりません。同じ解説が続けて述べているように、取り扱う品目によっては、別の法律にもとづく許可や届出が必要になることがあります。食品を輸入して売る、お酒を扱う、機械や部品を海外に送る――品目が変われば、関わる法律も所管の役所も入れ替わります。

メモ|この記事の範囲

ここで扱うのは、貿易会社を作る前に知っておきたい「入口」までです。許可や届出の要件の細部、申請書類の作り方は、所管官庁の案内と、書類作成を業務とする行政書士などの専門家の領域です。当サイトは申請の代行をしていません。

そこで、貿易会社の作り方は、何を(品目)・どこと(相手国)・どう取引するか(かたち)の三つを書き出すところから始めるのがおすすめです。この三つが決まると、事業の目的に何を書くか、どの役所に何を確かめればよいかが、調べる手がかりになります。

反対に、三つがあいまいなまま会社を作ると、設立のあとで目的を書き足したり、思わぬ届出に気づいて取引が止まったりしがちです。まずは「最初の一年で扱う品目」を具体的な商品名で挙げてみてください。数をそろえる必要はありません。抽象的な「雑貨」ではなく、「木製の食器」「乾燥ハーブ」のように書くと、後の確認作業がぐっと楽になります。

02取引のかたちを4つに分ける――輸入販売・輸出・仲介・手続きの代行

一口に貿易会社といっても、仕事のかたちはさまざまです。会社を作る前に、自分の会社がどのかたちに当たるのかを整理しておきましょう。かたちによって、確かめるべき法律の入口が変わります。

貿易のかたちは、輸入販売・輸出・仲介・代行に分けて考える。他人の通関手続を代行するなら通関業の許可
貿易のかたちは、輸入販売・輸出・仲介・代行に分けて考える
貿易会社の取引のかたちと確かめる入口の比較表
図01 貿易会社の取引のかたちと、確かめる入口

見落としやすいのが四つ目の「代行」です。通関業法第2条は、他人の依頼によって税関への輸出入の申告などを代理・代行する事務を「通関業務」と定め、第3条で、通関業を営もうとする者は財務大臣の許可を受けなければならないとしています。自社の商品の通関を自社で行うことと、他人の荷物の通関を仕事として引き受けることは、別のものとして扱われます。

通関業を営もうとする者は、財務大臣の許可を受けなければならない。

輸入販売や輸出を行う場合、通関の手続きは許可を受けた通関業者に依頼する方法もあります。運送の手配、商品の紹介、通関の代行は同じ仕事ではありません。他社の手続きまで請け負う計画があるなら、サービスを約束する前に業務範囲と通関業の許可の要否を所管の税関で確認します。

仲介のかたちを選ぶ場合も、契約書の上で自社が「売り手」なのか「代理人」なのか「紹介者」なのかによって、責任の範囲やお金の受け取り方が変わります。どの立場で取引するかを決めることは、貿易会社の作り方の中でも、目的の言葉や会計の組み立てに直結する大事な判断です。迷うときは、取引先との契約に詳しい弁護士などの専門家に相談してください。

03事業の目的の書き方――貿易会社らしさを定款にどう写すか

会社を作るときに決める部品の一つが事業の目的(P-02)です。会社法第27条は株式会社の定款に必ず書く事項の一つ目に「目的」を挙げ、第911条第3項は設立の登記で登記する事項の一つ目にも「目的」を置いています。つまり、目的は会社の名前と並んで、外から見える会社の自己紹介です。

事業の目的は定款に書き、登記にも載る。品目と取引のかたちを言葉にする
事業の目的は定款に書き、登記にも載る

貿易会社の作り方で目的を考えるときは、さきほど書き出した品目と取引のかたちを言葉にしていきます。たとえば、次のような要素を組み合わせる考え方があります。

  • 取引のかたち:輸出入、売買、仲介、代理店業務 など
  • 品目の範囲:雑貨、食料品、機械器具、衣料品 など
  • 国内での販売の方法:卸売、小売、インターネットによる通信販売 など
  • 関連業務:予定する主な事業に付随する業務 など

上はあくまで考え方の例で、このとおりに書けば登記できると保証するものではありません。目的の表現が適切かどうかは、本店の所在地を管轄する法務局で相談できます。また、許可や免許を受ける業種では、申請先から目的の書き方について確認を求められることがあります。食品や酒類の販売を予定しているなら、その言葉を目的に含めておくかどうかを、所管の窓口で事前に確かめておくと安心です。

目的は、あとから変えることもできます。ただし、定款の変更と登記が必要になり、手間と費用がかかります。会社を作る段階で、最初の一年に加えて今後実際に予定している事業も見通して検討するのが、無理のない作り方です。定款の書き方そのものは、登記・定款を専門に扱うサイトの担当なので、ここでは貿易会社の目線での注意にとどめます。

Q. 個人で輸入販売をしている場合も、会社を作ると何か変わりますか

A. 取引の主体が個人から会社に変わるため、届出や免許が個人の名前で出ているなら、会社として改めて手続きが必要になることがあります。所管の窓口に、会社を作る前に確かめておきましょう。

Q. 目的に書いていない品目は扱えませんか

A. 会社は定款の目的の範囲で活動するものとされます。範囲に入るかどうかの判断に迷う品目が出てきたら、目的の追加も含めて専門家に相談するのが安全な作り方です。

04扱う品目で変わる「他法令」――税関の一覧表を地図にする

品目ごとの決まりを調べるときに、最初に開きたいのが税関のカスタムスアンサー「1801 税関で確認する輸入関係他法令の概要」です。他法令とは、関税に関する法令以外で、輸出や輸入について許可や承認などを定めている法令のことです。

税関の「他法令」一覧で、品目ごとの法律と所管を探す。該当するかは主管省庁に確かめる
税関の「他法令」一覧で、品目ごとの法律と所管を探す

外国から輸入される貨物のなかには、我が国の経済、保健衛生又は公安風俗などに悪影響を及ぼす場合があり、これらの貨物については、それぞれの国内法令によって輸入の規制が行われています。

税関「1801 税関で確認する輸入関係他法令の概要」(2026年10月12日確認)

このページには、法令名・主な品目・主管省庁課を並べた一覧表があります。食品衛生法なら「すべての飲食物、添加物、食器、容器包装、おもちゃ等」、植物防疫法なら植物や有害動物など、医薬品医療機器等法なら医薬品・化粧品・医療機器など、という具合です。自分の品目リストと一覧表を突き合わせると、どの役所に何を聞けばよいかの地図ができます。

同じページは、他の法令で許可や承認などが必要な貨物は、その許可などを受けたことを税関に証明して確認を受けなければ輸入が許可されない(関税法第70条)と説明しています。さらに、一覧表の法令に当たるかどうかは主管省庁課に確認するよう求め、税関では他法令の該非に係る照会には答えられないと明記しています。

ひとこと 品目リストの作り方

商品名・材料・用途・原産国・数量の五つを一行にまとめた表を作り、一覧表の「主な品目」と見比べて、当たりそうな法令に印を付けます。印を付けた法令ごとに、主管省庁の窓口へ確認するのが近道です。

この一覧は、会社の営業に必要な規制をすべて網羅するものではありません。輸入できることと、国内でそのまま販売できることも別の確認です。また輸出をする場合は相手国側の輸入・販売規制が関わるため、この日本向けの一覧だけで取引を決めないでください。

05食品・お酒・中古品――輸入と販売を別々に確かめる

身近な品目でも、輸入時と国内販売時で別の確認が必要になることがあります。三つの例を、条文の名前で確かめておきましょう。

食品・酒類・中古品は、対象範囲と取引方法を確認。品名だけで一律に判断しない
食品・酒類・中古品は、対象範囲と取引方法を確認
品目の例 主な決まり 窓口の例
販売・営業用の食品・食器・指定のおもちゃ等 食品衛生法27条等:対象品の輸入届出 検疫所
お酒(酒類) 酒税法第9条:販売業には販売業免許 販売場の所在地の所轄税務署
中古品(古物)の仕入れと販売 古物営業法3条:許可対象の取引か確認 営業所の所在地の警察署

食品衛生法第27条は、販売の用に供し、または営業上使用する食品・添加物・器具・容器包装を輸入しようとする者は、その都度、厚生労働大臣に届け出なければならないと定めています。おもちゃは同法第68条による指定の対象を確認し、すべてのおもちゃが同じ扱いだと考えないようにします。厚生労働省の輸入食品のページは、初めて食品等を輸入する人に、届出予定の検疫所や最寄りの検疫所の窓口へ相談するよう案内しています。

お酒は、輸入したお酒を国内で売る場合に酒類の販売業免許が関わります。酒税法第9条は、酒類の販売業をしようとする者は、販売場ごとに所在地の所轄税務署長の免許を受けなければならないとしています。中古品は、仕入先や売買の方法によって古物営業法の許可の要否を確認します。「中古だから必ず必要」「輸入だからすべて不要」と品名だけで決めず、国内で買い取る取引があるか、誰がどこから仕入れるかを警察署に伝えて確認してください。

会社として免許や許可を申請する際は、会社の目的や本店・営業所の場所が確認されます。会社を作る前に品目を決めておく理由は、ここにあります。設立準備中の住所や目的を確定する前に、窓口の確認結果と突き合わせましょう。それぞれの要件の細部は、所管の窓口の手引きで原文を確かめてください。

06輸出をするなら外為法の入口だけは先に知っておく

日本から海外へ品物を送る貿易会社を作るなら、外為法(外国為替及び外国貿易法)の名前は必ず覚えておきましょう。第48条第1項は、国際的な平和と安全の維持を妨げると認められる特定の地域を仕向地(品物の届け先)とする特定の種類の貨物を輸出しようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないと定めています。

輸出では、品目と仕向地によって経済産業大臣の許可が要ることがある。リスト規制とキャッチオール規制
輸出では、品目と仕向地によって経済産業大臣の許可が要ることがある

経済産業省の近畿経済産業局のページは、この仕組みをリスト規制とキャッチオール規制の二つに分けて説明しています。リスト規制は輸出貿易管理令別表第1の1〜15項に載る貨物、キャッチオール規制は同じ別表の16項にかかわるもので、リストに載っていない品物でも用途や需要者によって許可が必要になる場合があります。

貨物や技術の仕様を法令の規制内容に照らして該当・非該当を確かめることを該非判定と呼びます。同じページのよくある質問は、該非判定を「安全保障貿易管理で重要なポイント」と位置づけています。工業製品や部品、電子機器などを扱う予定があるなら、会社を作る前の段階から、この言葉を意識しておくと安全です。

近畿経済産業局は、メーカー等から判定書を入手した場合も鵜呑みにせず、輸出者が自社で再確認するよう案内しています。商品名だけで判断せず型式や仕様をそろえ、改正時には判定結果も見直します。貨物の取引に加えて技術の提供が関わる場合は、そちらの規制も確認します。

輸出する品物が規制に当たるかを確かめる入口の流れ図
図02 輸出する品物を確かめる入口の流れ

外為法による許可や輸入の承認、品目ごとの考え方は、同じカテゴリーの「品目で変わる許可と承認」の記事で、もう一歩だけ踏み込んで名前を整理しています。リスト規制に非該当でも、取引相手や用途を調べる確認は残ります。設立前の品目選びと並べて、最初の取引までに何を確認し、誰が判断するかを整理してください。輸出管理の社内ルールの作り方も、取引を始める前に所管の案内で確かめておく事項です。

07英文の社名と取引先に見せる部品――会社名・住所・連絡先の作り方

貿易会社ならではの部品として、英文の社名があります。海外の取引先との契約書、インボイス(送り状)、名刺、ウェブサイトなど、英語で会社名を書く場面がとても多いからです。会社名(P-01)を決めるとき、英文の表記も同時に作っておくと、設立のあとで迷いません。

貿易会社は、英文の社名と住所表記も部品として作る。登記の商号と英文表記の関係を決める
貿易会社は、英文の社名と住所表記も部品として作る

法務省の案内によると、商号の登記にはローマ字やアラビア数字、一部の符号を使うことができます。ただし、符号は字句を区切るときだけ使え、商号の先頭や末尾には使えない(ピリオドを省略の意味で末尾に置く場合を除く)といった決まりがあります。商号のうち固有の名称を英字にするか、日本語の商号に対応した英文表記を別に用意するかを検討します。登記する商号には、会社の種類に応じて「株式会社」「合同会社」などの日本語の文字を含める必要があります。

法律・規則で決まっていること

  • 商号に使えるローマ字・符号は法務大臣の指定の範囲
  • 会社の種類を示す文字(株式会社など)は商号に必ず入れる
  • 目的・商号・本店は設立の登記に載る

好みや戦略で決めること

  • 会社の種類と取引書類に合う英文表記
  • 英文の住所の書き方の順番
  • 海外向けのドメインやメールアドレス
  • ロゴを英字にするか和文にするか

通称として使う英文表記と登記上の商号は区別し、会社の種類を誤認させない表現にします。銀行・取引先・提出先の指定表記がある場合はそれに合わせ、同じ会社を指すことが確認できるよう日本語の商号との対応も残します。ただし、商標の面では、和文と同じように J-PlatPat で似た名前がないか確かめておきましょう。英文の住所の書き方や、海外向けのドメインの作り方も、会社を作る段階で一度そろえておくと、書類ごとに表記がばらつくのを防げます。

08まとめ:貿易会社を作る前の部品表

貿易会社の作り方は、会社を作る手続きそのものよりも、その前の「品目と取引のかたちを決める」作業で差が出ます。品目リストができれば、事業の目的の言葉も、確かめるべき法律も、窓口も、順に見えてきます。

貿易会社の部品表:品目・かたち・目的・他法令・英文表記。会社を作る前に品目リストを作る
貿易会社の部品表:品目・かたち・目的・他法令・英文表記
貿易会社を作る前に確かめておくことと避けたいことの表
図03 貿易会社を作る前の点検

食品を扱うなら検疫所、お酒なら税務署、中古品なら警察署、輸出の規制なら経済産業省と、窓口は品目ごとに分かれています。最初の一歩は、厚生労働省の輸入食品のページのように、所管官庁が「初めての方へ」として案内している相談窓口を使うことです。

確認結果の残し方も決めておきます。品目リストに、確認した窓口、日付、回答の前提、残っている疑問を書く欄を加える作り方なら、仕入先が変わったときにも見返せます。一つの商品で確認できた結果を、材料や用途の違う別商品にそのまま当てはめないことが大切です。

品目リストの作り方、目的の作り方、英文表記の作り方は、どれも会社を作る前の机の上でできる作業です。設立の流れや費用、必要書類の一覧は、それぞれを専門に扱うサイトの担当です。部品表に戻り、会社名・本店・目的の部品から順に組み立てていきましょう。

この図面を閉じる前に

貿易の仕事は、品物が国境を越えるたびに新しい決まりと出会う仕事です。まずは、最初に扱いたい商品を具体的な名前で書き出してみてください。税関の他法令の一覧と照合したうえで、材料・用途・取引方法を所管の窓口へ伝えます。未確認の欄を残さず相談を進めることが、会社を作る準備と実際の取引を結ぶ一歩になります。

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