図番 B-19-18 / 会社名
会社名の決め方|商号の決まりと、覚えてもらえる名前の作り方

この記事を読んでほしい人
これから会社を作る人で、会社名の候補はいくつかあるけれど「どこまで自由に決めてよいのか」がわからない人に向けた記事です。すでに名前を決めた人が、登記の前に最後の点検をするときにも使えます。
- P-01 会社名
- P-02 事業の目的
- P-07 ロゴ
- P-09 ドメイン
01会社名は「商号」という部品――設立の書類と登記に載る理由
会社名のことを、法律の言葉では商号(しょうごう)と呼びます。会社が取引のときに名乗る正式な名前のことで、会社法の第6条は最初の一文で「会社は、その名称を商号とする」と定めています。つまり、会社を作るときに決める名前は、ただの呼び名ではなく、法律のうえで会社そのものを指す名前です。

この工房の部品表では、商号を P-01 に置いています。理由は単純で、ほかの部品の多くが会社名を前提に作られるからです。定款(会社の基本ルールを書いた書類)にも、設立の登記にも、会社名は必ず書き込まれます。名刺・封筒・ドメイン・ロゴといった外装の部品も、名前が決まらないと作り方の手順に入れません。
会社は、その名称を商号とする。
会社法 第6条第1項(e-Gov 法令検索、2026年10月11日確認)
一方で、会社名は「好きに付けてよい部分」がとても大きい部品でもあります。会社の種類を示す文字・使える文字・同じ住所での重複などには決まりがあります。さらに、他社と誤認させる名称の使用や商標などの権利にも注意が必要です。これらを確かめながら、どんな言葉や響きを選ぶかを考えます。
この記事では、まず法律で決まっていることを条文と法務省の案内で一つずつ確かめ、そのあとで好みで決める部分の作り方に進みます。順番を逆にすると、気に入った名前が登記できないと後でわかり、ロゴや名刺まで作り直すことになりかねないからです。
02法律で決まっていること:「株式会社」「合同会社」の文字を前か後ろに
会社名を作るときに必ず守るのが、会社の種類を表す文字を入れるという決まりです。会社法第6条第2項は、株式会社・合名会社・合資会社・合同会社の種類に従って、それぞれの文字を商号の中に用いなければならないと定めています。会社を作る人の多くが選ぶのは株式会社か合同会社なので、実際には「株式会社」か「合同会社」のどちらかを名前に組み込むことになります。

文字を入れる位置は、条文では指定されていません。「株式会社さくら工房」のように前に置く形を前株(まえかぶ)、「さくら工房株式会社」のように後ろに置く形を後株(あとかぶ)と呼ぶことがあり、どちらでも登記できます。どちらにするかは好みで決めてかまいませんが、名刺やドメインと並べたときの見え方も考えておくと迷いが減ります。
| 決まりの中身 | 条文 | 作り方での注意 |
|---|---|---|
| 会社の種類の文字を必ず入れる | 会社法 第6条第2項 | 株式会社なら「株式会社」、合同会社なら「合同会社」 |
| ほかの種類と誤認される文字を入れない | 会社法 第6条第3項 | 合同会社なのに「株式会社」と読める名前にしない |
| 会社でない者は会社と誤認される文字を使えない | 会社法 第7条 | 個人事業の屋号に「会社」を入れない |
第6条第3項は、反対に、ほかの種類の会社だと思われるおそれのある文字を使ってはいけないと定めています。合同会社を設立するのに「株式会社」と読める言葉を入れる、といった形です。これに違反すると、会社法第978条により100万円以下の過料(行政上のペナルティ)の対象になります。
株式会社と合同会社のどちらを選ぶかの比べ方は、このサイトの担当外で、法人の種類を比べる専門サイトに任せています。ここでは「どちらを選んでも、種類の文字は必ず名前の一部になる」とだけ覚えておけば十分です。
03使える文字と符号――ローマ字・数字・記号の細かな決まり
会社名には、漢字・ひらがな・カタカナのほかに、ローマ字やアラビア数字も使えます。商業登記規則第50条が「ローマ字その他の符号で法務大臣の指定するもの」を商号の登記に使えると定めていて、法務省がその中身を案内しています。英語の社名を作りたい人は、まずこの範囲を確かめておくと、作り方の選択肢がはっきりします。


符号には細かな決まりがあり、設立の書類に書き込む前に確かめておきたいところです。法務省の案内では、アンパサンド(&)・アポストロフィー(’)・コンマ(,)・ハイフン(‐)・ピリオド(.)・中点(・)の6種類は、字句を区切るときに限って使えるとされ、商号の先頭や末尾には使えません。ただしピリオドだけは、省略を表すものとして末尾に置くこともできます。
(3)の符号は、字句(日本文字を含む。)を区切る際の符号として使用する場合に限り用いることができます。したがって、商号の先頭又は末尾に用いることはできません。
同じ案内のQ&Aでは、「ABC東日本株式会社」のように日本の文字とローマ字を組み合わせた商号も登記できると説明されています。また、ローマ字で複数の単語を書く場合に限り、単語の間に空白(スペース)を入れられます。
反対に、ここに載っていない記号(たとえば「!」や「@」、ローマ数字の「Ⅱ」など)は使えないと考えておくのが安全です。ロゴや名刺のデザインでは記号を飾りとして使えても、登記する商号とは別物として扱われます。デザイン上の表記と、登記上の表記を分けて決めておくと混乱しません。
04同じ住所に同じ名前は登記できない――重なりを調べる手順
会社名そのものの重なりについて、登記の決まりが明確に禁じているのは同じ所在場所に同じ商号がある場合です。商業登記法第27条は、他人がすでに登記した商号と同一で、しかも本店の所在場所も同一であるときは、その商号の登記をすることができないと定めています。

商号の登記は、その商号が他人の既に登記した商号と同一であり、かつ、その営業所(会社にあつては、本店。以下この条において同じ。)の所在場所が当該他人の商号の登記に係る営業所の所在場所と同一であるときは、することができない。
この決まりが効いてくるのは、レンタルオフィスやバーチャルオフィスなど、同じ住所に多くの会社が入る場所を本店にするときです。自宅を本店にする場合でも、同じ建物に別の会社があることは珍しくありません。本店の住所選びは、会社名の作り方と切り離せない部品どうしの関係にあります。会社を作る前に、本店にする予定の住所と会社名の組み合わせで重なりがないかを確かめておきましょう。
手順 1
候補の名前を3つ用意する
第一候補が使えなかったときに作り方を止めないため、順位をつけておく。
手順 2
国税庁の法人番号公表サイトで検索する
商号又は名称・所在地から、すでにある法人を無料で調べられる。
手順 3
本店の住所と並べて見比べる
同じ商号が同じ所在場所にないかを確かめる。迷うときは管轄の法務局に相談する。
法人番号公表サイトは、法人番号の指定を受けた法人の「商号又は名称」「本店又は主たる事務所の所在地」「法人番号」の3つを検索できる国税庁のサイトです。設立の登記が終わったばかりの会社は反映まで時間がかかることもあるので、最終的な判断に迷ったら本店の所在地を管轄する法務局に確かめるのが確実です。
なお、住所が違えば同じ名前でも登記そのものはできます。だからといって、知られた会社とそっくりの名前を付けてよいわけではありません。次の章で、登記とは別の角度からの決まりを見ていきます。
05名前に入れられない言葉と、まぎらわしい名前の扱い
会社名に入れられない言葉の代表が、法律で特定の業種だけに使い方が許されている文字です。たとえば銀行法第6条第2項は、銀行でない者はその名称や商号の中に銀行であることを示す文字を使ってはならないと定めています。こうした業種ごとの決まりは銀行に限らないため、金融・保険のような規制の強い業種に近い言葉を名前に入れたいときは、設立の手続きに入る前に、所管の官庁の案内を確かめてください。

もう一つが、ほかの会社と間違えられるような名前です。会社法第8条第1項は、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称や商号を使ってはならないと定めています。第2項では、そのせいで営業上の利益を害される会社が、使用の停止や予防を求められるとしています。
法律・規則で決まっていること
- 会社の種類の文字を入れる(会社法6条)
- 業種を示す一部の文字は使えない(銀行法6条など)
- 不正の目的でほかの会社と誤認させない(会社法8条)
- 同じ住所に同じ商号は登記できない(商業登記法27条)
好みや戦略で決めること
- 漢字・かな・ローマ字のどれを主にするか
- 前株にするか後株にするか
- 事業内容を名前で伝えるかどうか
- 読みやすさ・音の響き・長さ
ここで大事なのは、登記できたことと、使っても問題が起きないことは別だという点です。法務局は、商業登記法第27条のような登記の決まりに沿って手続きを進めますが、世の中のすべての会社名や商品名との似かたまでを審査してくれるわけではありません。似た名前で後から争いになれば、名刺・看板・ドメインまで作り直しになります。
どこからが「まぎらわしい」にあたるかは、事業の内容や地域、相手の会社の知名度などで変わり、一律の線は引けません。心配な候補があるときは、弁護士や弁理士などの専門家に相談して判断材料をそろえるのが近道です。
06商標を J-PlatPat で検索する――「登記できた=安心」ではない
会社名と同じくらい確かめておきたいのが商標(しょうひょう)です。商標は、商品やサービスに付ける名前やマークを守るための権利で、会社名の登記とは別の仕組みで登録されます。会社名を商品名やサービス名としても使うつもりなら、すでに誰かが似た名前を商標として登録していないかを見ておく必要があります。

調べる道具として、工業所有権情報・研修館(INPIT)が運営するJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)があります。INPIT の案内では、特許・実用新案・意匠・商標などの公報情報を収録し、無料で検索・閲覧できるサービスとして説明されています。商標の分野には「商標検索」や「商品・役務名検索」などの機能があります。

検索のコツは、表記をいくつか変えて試すことです。漢字・ひらがな・カタカナ・ローマ字で書き分けたり、読み方(称呼)が近い言葉を探したりすると、同じ名前でも見落としが減ります。見つかった商標が、自分の事業と同じような商品やサービスに使われているかどうかも確かめどころです。商標の調べ方も、会社名の作り方の一部として手順に組み込んでおきましょう。
ただし、検索で何も出てこなかったからといって「この名前なら大丈夫」とは言い切れません。出願中のものや、登録されていなくても広く知られている名前がありうるからです。会社を作る前にできるのは、判断材料を集めて危ない候補を外しておくところまでと考えてください。自社でも商標として守りたい場合の手続きは、弁理士への相談をおすすめします。
07覚えてもらえる会社名の作り方――好みで決める部分の組み立て方
法律の枠を確かめたら、ここからが会社名の作り方の本番です。好みで決める部分には正解がありませんが、あとから困らないための考え方はあります。おすすめは、名前を単独で考えず、ロゴ(P-07)とドメイン(P-09)と同時に組み立てることです。三井住友カードの解説でも、URL やメールアドレスに会社名を使うと覚えてもらいやすくなるとして、ドメインが取れるかの確認を挙げています。

名前の元になる言葉の集め方
- 事業の中身を表す言葉(何を作る・何を届ける)
- 会社を作る理由や大事にしたい考え(経営理念 P-08 とつながる)
- 地域や創業者にゆかりのある言葉
- 響きが気に入っている外国語の単語(意味を辞書で確かめる)
集めた言葉を組み合わせたり、短くしたりして候補を作ります。このとき、口に出して読んでみる・電話口で名乗ってみる・手書きしてみる、の三つを試すと、文字の上ではわからない読み違いや言いにくさに気づけます。

長さに決まりはありませんが、名刺や看板、メールアドレスに入れたときの収まりは考えておきたいところです。事業内容をそのまま名前にすると、何の会社かは伝わりやすい反面、事業を広げたときに名前が合わなくなることがあります。将来の事業の目的(P-02)もあわせて眺めておきましょう。
英語の表記をどうするかも、ここで決めておくと後の作り方が楽になります。ロゴやドメインの作り方とも直結する部分です。登記する商号を日本語にして、英文の表記は名刺やホームページで別に用意する、という作り方もよくあります。その場合は、どちらを正式な名前として使う場面なのかを社内で分けておくと迷いません。
08まとめ:会社名の作り方を部品表で振り返る
会社名(商号)は、会社を作るときに最初に決める部品で、設立の登記に載り、ほかの多くの部品の土台になります。作り方の順番は、法律で決まっていることを確かめる → 重なりや商標を調べる → 好みで名前を組み立てる、の三段階です。


| 点検する項目 | 確かめる先 | 済 |
|---|---|---|
| 種類の文字が入っている | 会社法 第6条 | □ |
| 使えない符号・位置がない | 法務省の案内 | □ |
| 本店の住所で同じ商号がない | 法人番号公表サイト・法務局 | □ |
| 業種を示す文字を使っていない | 各業法・所管官庁 | □ |
| 似た商標がないか調べた | J-PlatPat | □ |
| ドメインとロゴの見通しが立った | P-07・P-09 の記事 | □ |
名前はあとから変えることもできますが、定款の変更と登記が必要になり、名刺や看板、ドメインまで作り直すことになります。設立の前に少し時間をかけて点検しておくのが、結局はいちばん手間の少ない作り方です。
会社名が決まったら、次は事業の目的(P-02)や本店の所在地(P-03)を決める段階に進みます。部品表に戻って、残りの部品を順に組み立てていきましょう。
この図面を閉じる前に
会社名は、会社を作る人がいちばん長く付き合う部品です。気に入った候補が見つかったら、今日のうちに法人番号公表サイトと J-PlatPat で一度だけ検索してみてください。何も出てこなくても、そこで終わりにせず、声に出して読み、ロゴとドメインを思い浮かべてから決めると、設立のあとで「こうしておけば」と思う場面がぐっと減ります。
この図面は、会社づくりの役に立ちましたか?
ありがとうございます。記録しました。
他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください
掲載は検索で見つかった順に関連の近いものを並べたもので、順番は優劣を示しません。各サイトの内容は運営者の責任で公開されているものです。最新の情報は各サイトでご確認ください。
会社設立ガイド by タチアゲ
商号ルールと会社名を決める手順・NG例を解説
tatiage.com- Wix ブログ
- 会社名(商号)の決め方を5つのルールと事例で紹介
- ja.wix.com
やしお事務所
起業ログ
会社名の決め方8つのポイントと発想法を紹介
| サイト | FUTOKORO |
|---|---|
| 内容 | 会社名や屋号の決め方と考え方を解説 |
会社名(商号)のルールとアイデアの出し方を紹介
09 Shopify 日本
- 会社名の決め方とネーミングに使えるサイトを紹介
税理士法人 池上会計
会社名の決め方と屋号との違いを解説
bistation
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