図番 B-08-43 / ロゴ
会社のロゴの作り方|使う場所から逆算して決める

この記事を読んでほしい人
会社名はほぼ決まったけれど、ロゴを「なんとなく格好よく」以上にどう決めればよいのか手がかりがない人に向けた記事です。デザインの経験がなく、自分で作るか人に頼むかで迷っている段階の人にも読んでほしい内容です。
- ロゴ
- 会社名
- ホームページ
- 名刺・封筒
01ロゴは「好みで決める部品」――ただし商標の世界とはつながっている
会社を作るとき、ロゴがなければ設立できないということはありません。会社名は登記する事項ですが、ロゴは会社設立登記の必須事項でも、定款に必ず記載する事項でもありません。作る時期や表現方法は、用途に合わせて検討できます。ただし、自由にデザインする場合も、他人の権利を侵害しないことが前提です。

それでもロゴの作り方を一度きちんと考えておきたいのは、使う場面がとても多いからです。名刺、ホームページ、請求書、封筒、SNS のアイコン、看板。設立の直後から、会社を外に見せるほとんどの場所にロゴが顔を出します。後から形を変えると、刷った名刺や作った看板をまとめて作り直すことになります。
法律・規則で決まっていること
- 会社設立にロゴの作成は必須ではない
- 商標権は設定登録で発生する(商標法18条)
- 他人の権利と素材・書体の利用条件を確認する
好みや戦略で決めること
- マークを付けるか、社名の文字だけにするか
- 色・書体・形の雰囲気
- 自分で作るか、デザイナーに頼むか
- いつまでに作るか(設立前か、設立後か)
表の左側にあるとおり、ロゴそのものは自由でも、商標とは地続きです。商標法は第2条で、文字・図形・記号・立体的形状・色彩やそれらの結合などで、商品やサービスに使うものを「商標」と定めています。会社のロゴは、まさにこの「文字や図形の組み合わせ」にあたることが多い部品です。
商標権は、設定の登録により発生する。
ロゴを作るだけでは商標権は生まれず、出願し、審査を経て設定登録されることで発生します。一方、著作権などの問題は商標登録の有無だけでは決まりません。作り方を検討する初期に似た商標を調べ、案が変わったら再確認しておくと、大きな手戻りを減らせます。完成してからだけでなく、会社を作る準備の途中でも確認する事項です。
02作り方の第一歩は、ロゴを置く場所を書き出すこと
ロゴの作り方でいちばん効くのは、絵を描き始める前に使う場所の一覧を作ることです。どこに置くかで、求められる大きさ・色数・縦横の比率がまったく変わるからです。会社を作る前後に必要になる場所を、思いつくだけ紙に書き出してみてください。

| 置く場所 | 大きさの目安 | ロゴに求められること |
|---|---|---|
| 名刺・封筒 | 数ミリ〜数センチ | 小さくても形がつぶれない |
| ホームページの左上 | 横長の帯 | 横に並べても読める |
| SNS・ブラウザのアイコン | 正方形のごく小さな枠 | マークだけで見分けがつく |
| 請求書・見積書 | 白黒で印刷されることも多い | 1色でも成り立つ |
| 看板・のぼり | 大きく遠くから | 遠目で読める太さ |
中小企業基盤整備機構の J-Net21 は、チラシの作り方の解説の中で、会社名・電話番号・ホームページのアドレス・住所などの情報に漏れがあると連絡や来店につながらないと注意しています。ロゴも同じで、会社名や連絡先と一緒に並ぶ場面がほとんどです。ロゴ単体で見て満足するのではなく、情報と並べたときの収まりで判断するのが、失敗しにくい作り方です。
一覧の中で、小さく使う場所と大きく使う場所を選び、まず試してみましょう。その二つが読めても、横長の枠や丸く切り抜かれるアイコンなどに自動的に適合するわけではありません。実際に使う枠へ置いて、欠ける部分、文字の読みやすさ、背景との違いを一つずつ確かめます。試す場所を先に決めると、修正を頼むときも具体的に伝えられます。
ひとこと 設立前に作るか、設立後に作るか
名刺やホームページを設立の日に合わせて用意したいなら、ロゴは設立前から作り始めるのが現実的です。急ぐ必要がなければ、会社名の文字だけで名刺を作り、事業の形が見えてから正式なロゴを作る順番でもかまいません。
03ロゴの3つの型――マーク・ロゴタイプ・組み合わせ
ロゴにはいくつかの型があります。freee のバックオフィス基礎知識では、企業ロゴの要素を、図案で表す「ロゴマーク(シンボルマーク)」と、会社名を書体でデザインした「ロゴタイプ(ワードマーク)」の二つに分け、両方を組み合わせた形もあると説明しています。型を先に決めると、作り方の手順がぐっと具体的になります。


例えば、ホームページとSNSの両方に使いたいなら、マークと社名を組み合わせる案を検討できます。横長の場所では両方を並べ、小さな枠ではマークだけにする作り方です。ただし、切り離して使う形を最初から設計しておく必要があります。マークだけでは会社名が伝わりにくい場合もあるため、会社を作る段階の用途に合うかで選びましょう。
文字中心のロゴなら、名前の読みやすさを優先した作り方にできます。ただ文字を打てば十分というわけではなく、文字間隔や小さい表示での見え方を整えます。使用する書体の利用条件も確認してください。設立直後の名刺で名前を覚えてもらいたいなど、目的を具体化すると、マークを足す必要があるかも判断しやすくなります。
組み合わせ型で用意しておく形
- 横組み(マークの右に社名)――ホームページ・名刺の横型
- 縦組み(マークの下に社名)――正方形の枠・看板
- マークのみ――SNS のアイコン・ブラウザのタブ
- 社名の文字のみ――請求書や封筒のヘッダー
この四つは用意する形の候補です。使わない形まで必ず作る必要はありませんし、四つあれば将来のすべての用途を満たすとも限りません。デザイナーに頼むなら、使う場所と必要な形を一緒に渡し、各形を別々に利用できるかも含めて確認します。
04色と形の決め方――白黒にしても崩れないか
色と形は、ロゴの作り方の中でいちばん好みが出る部分です。正解はありませんが、白黒にしても成り立つかという一点だけは、どんなデザインでも確かめておきたいところです。税理士法人の解説でも、ロゴを作るときに意識したい点として、モノクロで印刷したときの見え方が挙げられています。

請求書や見積書は白黒で印刷されることがよくあります。ファクスやコピーを通すと、細い線や淡い色は消えてしまいます。そこで、作り方の順番を「まず1色で形を決める → 形が決まってから色を足す」にしておくと、色に頼らない強い形が残ります。

色数を絞ると、用途ごとの配色を管理しやすくなります。例えば主な色と補う色を一つずつ決める作り方は、設立時の小さな運用から始める案になります。ただし、色数だけで再現の良し悪しは決まりません。同じ指定でも紙や印刷方法、画面によって見え方が変わるため、実物で確かめる工程を残します。
同じ解説は、ロゴは作った後で簡単には変えられないので、長く使えるデザインを考えておく必要があるとも述べています。流行りの加工や、そのときだけの事業内容を描き込みすぎると、数年後に合わなくなることがあります。会社を作る理由や、これからも変わらない価値観(経営理念)とつなげて考えると、長く使える形を選びやすくなります。
Web用と印刷用の色指定を記録すると、依頼先へ意図を伝えやすくなります。数値をそろえても同じ見え方になるとは限らないため、重要な印刷物は試し刷りを確認します。
05自分で作るか、デザイナーに頼むか――作り方の分かれ目
ロゴの作り方は、大きく分けて三つあります。自分で作る、クラウドソーシングなどで募集する、デザイン事務所やデザイナーに個別に頼む、の三つです。どれが正しいということはなく、会社を作る段階で使える時間とお金、そしてこだわりの強さで選びます。

| 作り方 | 向いている人 | 気をつけたいこと |
|---|---|---|
| 自分で作る | 形のイメージがはっきりしている | 既存のロゴに似ていないか自分で確かめる |
| 募集して選ぶ | たくさんの案を見比べたい | 採用後の権利とファイルの受け取り方を決めておく |
| 個別に頼む | 会社の考え方から一緒に作りたい | 費用と期間、修正の回数を最初に決める |
自分で作る場合はテンプレートを使う方法もあります。ただし、画像や書体などの素材には、それぞれ利用条件があります。商用利用ができてもロゴ利用や商標登録まで認められるとは限りません。使う素材ごとに条件を確認し、出所と規約の記録を残します。他社も同じ素材を使えるかという点も、独自性を考える材料です。
人に頼む場合に必ず考えておきたいのが、できあがったロゴの権利が誰にあるかです。文化庁の著作権の解説は、作品を創作した人を「著作者」と呼び、その著作者に法律上与えられる権利が著作権だと説明しています。ロゴが著作物にあたるかどうかはデザインによって判断が分かれますが、少なくとも、お金を払って頼んだからといって自動的に会社のものになるとは限らない、という前提で準備しておくのが安全です。
依頼のときに決めておくこと(ファイルの形式・権利の扱い・商標の確認)は、次の記事「ロゴを依頼するときに決めること」で詳しく扱います。ここでは、作り方を選ぶ段階で権利の話を後回しにしないことだけ覚えておいてください。
06作ったロゴの権利は誰のもの? 著作権の基本だけ押さえる
著作権法は、著作物を創作する者を著作者としています。外部のデザイナーが独立して創作したロゴなら、その人が著作者となるのが基本ですが、法人の発意に基づく職務上の制作など、15条の要件を満たす場合は法人等が著作者となります。ロゴが著作物に当たるかも個別の表現によるため、契約相手と、誰が権利を持つかを確認します。

著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。
— 著作権法 第61条第1項(e-Gov 法令検索、2026年10月11日確認)
61条2項は、27条・28条の権利が譲渡対象として特に示されていない場合、譲った側に残ると推定すると定めています。27条は翻案など元の作品を基に別の創作をする権利、28条はその二次的な作品の利用について原作者が持つ権利です。単に画像を小さくする操作と、すべて同じ問題として扱うものではありません。将来どんな変更をしたいかを伝え、必要な範囲を契約で確認します。
- 譲渡
- 権利そのものを会社に移してもらう形。将来の修正や商標の出願を考えるなら検討したい
- 利用の許諾
- 権利はデザイナーに残し、決めた範囲で使う許可をもらう形。範囲の外の使い方は改めて相談が必要
- 著作者人格権
- 作者の名前の表示や作品の改変に関わる権利。条文上、譲り渡すことはできない
著作者人格権は59条により譲渡できず、20条には作者の意に反する改変を受けない権利もあります。著作権を買い取ったことだけで、色や形を自由に変えてよいとは決まりません。使う場所、予定する変更、作者名の表示を依頼先と整理してください。不行使の合意などを設ける場合も、その範囲と意味を確認し、契約で迷う点は弁護士などに相談します。
07J-PlatPat で似たマークを探す――「これなら安全」とは言い切らない
会社名やロゴの候補を考えた段階で、商標も検索してみましょう。デザインを確定する前に調べ、修正した案や利用開始前の最終案も確かめます。INPITが提供するJ-PlatPatは、商標などの公報情報や経過情報を無料で検索・閲覧できるサービスです。商標検索、図形等分類表、商品・役務名検索などの機能があります。


文字を含むロゴは、社名や文字の表記、読み方から調べます。図案については、図形の種類に付けられた分類から探す方法があります。名前だけでなく、どの商品やサービスに使うかも確認してください。検索条件を狭くしすぎると候補を見落とすことがあるので、検索語と範囲を記録しておくと、追加の調査を依頼するときに役立ちます。
ここで大切なのは、検索で似たものが見つからなかった=安全、ではないということです。出願されたばかりでまだ表示されていないもの、登録はされていなくても広く知られているマークなど、検索だけではわからない事情があります。会社を作る前の段階でできるのは、明らかに危ない案を外し、判断の材料をそろえるところまでです。
自社のロゴを商標として守りたいなら、出願するかどうかを含めて弁理士に相談するのが近道です。商標権の存続期間は、商標法第19条により設定の登録の日から10年で、更新の申請によって続けることができます。長く使うロゴほど、早めに検討しておく意味があります。
08まとめ:用途を決め、見え方と権利を確かめながらロゴを作る
会社のロゴは、設立のために必ず要る部品ではありません。そのぶん自由度が高く、作り方の順番を決めておかないと、いつまでも決まらなかったり、使う場所で困ったりしがちです。この記事の流れを振り返っておきます。


もう一つ覚えておきたいのが、商標の登録の有無にかかわらず、よく知られた他社の表示と紛らわしいロゴは避けるべきだという点です。不正競争防止法は、氏名・商号・商標・標章など「商品又は営業を表示するもの」を「商品等表示」と呼び、他人のよく知られた表示と同じか似たものを使って混同を生じさせる行為などを不正競争として扱っています。似せたつもりがなくても、結果として紛らわしければ争いの種になりえます。
| 点検する項目 | 確かめる先 | 済 |
|---|---|---|
| 用途ごとの枠で読める | 実寸の名刺・画面・看板の試作 | □ |
| 1色でも成り立つ | 白黒で印刷して確認 | □ |
| 権利の扱いを決めた | 依頼先との契約書 | □ |
| 似た商標を検索した | J-PlatPat | □ |
| 社名の表記が意図どおり | 会社名・ドメインの各記事 | □ |
ロゴが決まったら、名刺や封筒、ホームページといった、ロゴを載せる部品の作り方に進みましょう。会社を作る準備が一つ進むたびに、ロゴが会社の顔として少しずつなじんでいきます。
この図面を閉じる前に
まずはロゴを使う場所を書き出し、実際の枠に試作を置いてみてください。小さい文字や丸い切り抜きで困る部分が見つかれば、それが次の修正点です。会社を作る準備の中で、見え方と権利の確認を重ね、自分たちが無理なく使い続けられる形を選びましょう。
この図面は、会社づくりの役に立ちましたか?
ありがとうございます。記録しました。
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